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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻11号

1988年11月発行

文献概要

臨床報告

視床出血にみられる水平眼球運動障害

著者: 長谷部聡1 大月洋1 岡山英樹1 渡辺好政1 児山工2

所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室 2岡山労災病院眼科

ページ範囲:P.1243 - P.1247

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 高血圧性視床出血の3例について,水平眼球運動を検討した.症例1は60歳,男性.上方注視麻痺,輻湊麻痺,輻湊後退眼振,skew devia-tionを認めた.症例2は67歳,男性.上,下方注視麻痺,輻湊麻痺,外斜視を認めた.症例3は41歳,女性.水平,垂直方向とも眼球運動制限は認めず,輻湊運動も保たれていた.CT上では高吸収域が,症例1,2では視床から中脳へ広がりを示したが,症例3ではほぼ視床に限局していた.
 photo-electric oculogram (pEOG)を用いて水平眼球運動を検討したところ,3例すべてに,健側向きの衝動性眼球運動の推尺障害(hypometricsaccade)と病側向きの滑動性追従運動の衝動化(saccadic pursuit)を認めた.
 したがって,従来報告されているように血腫が中脳背側部へ伸展すると,上方(垂直)注視麻痺を来すが,一方,これら水平眼球運動の障害は,視床に存在する水平眼球運動に関する神経伝導路の障害または制御機構の障害によって生じたものと思われ,視床出血の特徴的な眼所見と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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