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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻12号

1988年12月発行

文献概要

臨床報告

白内障術後に発見された眼底疾患

著者: 越生晶1 谷口康子1 浅井源之1 宮谷寿史1 佐々木次壽1

所属機関: 1厚生連高岡病院眼科

ページ範囲:P.1337 - P.1342

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 過去6年間に施行した白内障手術例1,205眼に術後2週以内に徹底した眼底検査を行った.その結果11.2%に術後になって初めて何らかの眼底疾患が発見された.
 高頻度でみられたものは網膜剥離およびその関連病変と網膜血管性病変で,それぞれ5.6%,3.8%にみられた.その他に原因不明の網脈絡膜萎縮巣,特発性黄斑部網膜上膜,老人性円板状黄斑変性,高度近視に伴う黄斑出血がみられた.
 網膜剥離およびその関連病変では格子状変性が最も多く,そのうち20%は裂孔や円孔を伴っていた.格子状変性と関係のない裂孔や円孔もあり,他に黄斑円孔や裂孔原性網膜剥離もみられた.
 網膜血管性病変では糖尿病性網膜症が最も多く,次いで網膜静脈閉塞症が多かった.他に網膜動脈閉塞症と網膜動脈瘤がみられた.
 発見された眼底疾患のうち,糖尿病性網膜症は他眼の網膜症とほぼ同程度であった.しかし網脈絡膜萎縮巣を除く他の疾患では他眼に同じ疾患をみないことが多かった.
 網膜剥離およびその関連病変と網膜血管性病変には光凝固の適応例が多く,眼底疾患がみつかった眼の41.5%,全体の4.6%に光凝固が行われ,その経過は良好であった.
 以上のことから,後発白内障や虹彩後癒着を生じ易い嚢外摘出法と眼内レンズ挿入術が白内障手術の主流となってきた現在,術後早期に十分な眼底検査を行い,眼底疾患の早期発見に努めることが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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