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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻12号

1988年12月発行

文献概要

臨床報告

クラミジア感染症の病原診断—眼科と泌尿器科の比較

著者: 青木功喜1 広田紀昭2 岩本かよ3 佐藤千秋3 橋本信夫3

所属機関: 1青木眼科 2広田泌尿器科 3北大獣医学部獣医公衆衛生学教室

ページ範囲:P.1343 - P.1346

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 性行為感染症として再び注目をあびている最近のクラミジア感染症は,特定な局所に局在する傾向が強く,病巣を各々に比較検討することは,クラミジア学とその臨床のため必要である.今回は病原診断の面から眼科と泌尿器科の比較検討を加えた.
 札幌市の同地域の同規模の眼科及び泌尿器科診療所を通して,1986年から1987年までの13カ月間にクラミジア感染症を疑った結膜炎51名,尿道炎53名についてMicro Trak,細胞培養(Vero-cell)を用いて,病原診断を行うと共に分離できた株においてはモノクロナール抗体セットを用いて,血清型の決定を行った.
 ①病原診断の陽性率は,泌尿科では47%と眼科の31%よりも高頻度であった.②結膜炎では,分離培養の方が抗原検出よりも感度がよく,尿道炎においては差がみられなかった.③男性では分離と抗原検出が共に陽性である場合は47%であったが,女性では共に陽性となったのは11%であった.④血清型は50%は結膜炎でも尿道炎でもD型であった.⑤病原体陽性の頻度は,男性では抗クラミジア抗体陽性と陰性の間で有意に差があったが,女性では差がなかった.
 クラミジア感染症の病原診断は,尿道からの分離と抗原検出の間で差がなく,結膜では分離の感度がよく,診断法の選択が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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