icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻12号

1988年12月発行

臨床報告

小瞳孔症例に対する後房レンズ移植術の試み

著者: 金谷いく子1 石井好子1 溝上國義2

所属機関: 1兵庫県立成人病センター眼科 2神戸大学医学部眼科

ページ範囲:P.1362 - P.1366

文献概要

 術前の散瞳がレンズ径より小さい小瞳孔例6例6眼に対し,虹彩根部切開および同部の前嚢切開を加え,ECCE,後房レンズ移植を行った.また,2例の眼圧コントロール不良例に対しては,トラベクロトミーを併用した.
 虹彩根部切開から,水晶体核を娩出するため,瞳孔損傷が避けられた.皮質吸引時にI/Aチップの挿入経路として用いたが,比較的無理のない角度で挿入可能で,チップ先の可動範囲が大きい.虹彩下に存在する大部分の皮質は,イリスフックを併用することで,直視下に周辺まで十分吸引することができた.後房レンズは,瞳孔径が4mm以上で,瞳孔の伸展性が比較的よい場合は,経瞳孔的挿入が可能であった.瞳孔縁に落屑を認めるもの,虹彩の萎縮の強いものは瞳孔の伸展性に乏しいが,これは,イリスフックで確認できた.水晶体嚢が大部分残されているため,経瞳孔的に挿入した場合,容易に嚢内固定が可能で,経虹彩切開的に行う場合でも,直視下に確実に嚢内に固定することができた.また切開部は10-0ナイロンで整復するため,角膜中央にほぼ円形の瞳孔を術後長期にわたって維持することができた.術後視力は,黄斑変性を合併した2例は0.1以下であったが,緑内障性視野障害を有するが,中心視野の保たれている他の4例は,0.5以上の矯正視力が得られた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら