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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻12号

1988年12月発行

臨床報告

下方半周網膜切開術による下方残存網膜剥離の治療

著者: 中江一人1 日下俊次1 生島操1 細谷比左志1 池田恒彦1 田野保雄1

所属機関: 1国立大阪病院眼科

ページ範囲:P.1367 - P.1371

文献概要

 不明裂孔による下方の残存網膜剥離症例13眼(糖尿病性網膜症は対象から除外した)に対して,下方半周網膜切開による治療を試みた.13眼は以前に網膜硝子体手術(ガスタンポナーデや光凝固治療を除く)を数回(平均2.5回)施行したが再剥離してきた難治例であった.網膜切開は平均204度におよびシリコンオイルは12眼に併用した.12眼中シリコンオイル抜去が可能であったのは10眼で,抜去時期は網膜切開術後平均7.9カ月目であった.抜去後平均4.9カ月の経過観察中には全例再剥離はみられなかった.2眼は前房内にシリコンオイルが充満していたり,10mmHg以下の低眼圧である等の理由によりシリコンオイルを抜去できなかった.シリコンオイル抜去不能例の2眼を除く11眼(84.6%)に完全復位を得,最終的には,13眼中9眼(69.2%)に2段階以上の視力改善を得た.不明裂孔による下方残存網膜剥離に対して,下方半周網膜切開術は有効な方法と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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