臨床報告
Coats病の治療成績
著者:
伊東良江1
伊東滋雄1
小林誉典1
宇山昌延1
所属機関:
1関西医科大学眼科
ページ範囲:P.1373 - P.1377
文献購入ページに移動
われわれは当科で最近10年間にCoats病20例20眼を経験した.半数が10歳以下の若年者で,男性は女性の3倍多く,全例片眼発症であった.白色瞳孔を主訴としたのは5歳以下の乳幼児で,網膜芽細胞腫との鑑別を要したのが1眼あった.異常血管病巣が1象限以内のものは5眼,1〜2象限は6眼,2象限以上におよんだのは9眼であった.網膜血管の異常部への直接的光凝固(キセノン,アルゴン,クリプトン,色素レーザー)を18眼に行い,症例により,輪状締結術や硝子体手術を追加し,14眼77%が治癒した.とくに眼底病変が2象限以内の症例の治療成績は100%と良好であり,2象限以上に広がった症例の治癒率は44%であった.また自覚症状発現から治療開始までの期間が7カ月以上のものは,治療成績が良くなかった.治療としては光凝固が有効であるが,病巣が2象限以上に広がったものは難治であることが示された.