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特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (1) 学会原著
インスリン依存型糖尿病患者妊娠時の眼科的管理
著者: 木戸口裕1 大井いく子1 亀山和子1 福田敏雄2 大森安恵3
所属機関: 1東京女子医科大学 2東京女子医科大学糖尿病センター眼科 3東京女子医科大学内科
ページ範囲:P.107 - P.111
文献購入ページに移動妊娠初回検査時,27例には網膜症がみられず,そのうち10例(37%)には,妊娠中に単純型網膜症が生じたが,残り17例には,網膜症を生じなかった.また35例には,妊娠初回検査時非増殖性網膜症がみられた.このうち24例(69%)に網膜症の悪化が生じ,11例は網膜症の変化がみられなかった.
網膜症が最も増悪する時期は,妊娠25週以降であるものが,悪化例の85%をしめた.また妊娠中に悪性網膜症(福田B分類)へと進行した例は,妊娠初回検査時に網膜症のないものにはみられず,重症単純網膜症(AII)であるものに多くみられた.それらの例は,良性網膜症(福田A分類)のままであったものに比べ,妊娠前から妊娠中にかけての血糖コントロールの改善度合が大きかった.またそれらの例は,大部分光凝固により網膜症の進行は停止した.
妊娠中に網膜症が悪化する因子としては,年齢30歳以上であること,糖尿病罹病期間5年以上であること,妊娠前血糖コントロール不良なこと,が示唆された.
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