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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻2号

1988年02月発行

文献概要

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (1) 学会原著

小児糖尿病における網膜細小血管異常について

著者: 鎌田章栄1

所属機関: 1日本大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.113 - P.117

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 小児糖尿病患者(インスリン依存性糖尿病〔IDDM〕74名,インスリン非依存性糖尿病〔NIDDM〕99名,耐糖能異常〔IGT〕27名)計200名を対象に,半年から1年の間隔で眼底検査を施行し,学童期以上の症例には螢光眼底造影検査を行い,網膜細小血管症の発症頻度と,糖尿病の病型,年齢,罹病期間,コントロールの良否との関係を検討した.
 検眼鏡的異常所見としては,網膜小出血と毛細血管瘤を認め,その出現頻度は200名中26名13.0%であった.病型別に検討すると,IDDM 74例中19例25.7%,NIDDM 99例中6例6.1%,IGT 27例中1例3.7%であった.IDDMとNIDDMおよびIGTとの間に有意差を認めた.
 螢光眼底造影は157名に行い,毛細血管の限局性拡張および濃染,毛細血管瘤,黄斑部周囲毛細血管網の限局性閉塞などの異常所見を69名44.0%に認めた.病型別の出現頻度はIDDM 59例中36例61.0%,NIDDMでは77例中31例40.1%,IGTでは21例中2名39.5%であり,各病型間に有意差を認めた.
 血糖コントロールの良否との関係は,検眼鏡的および螢光眼底造影異常所見いずれも,コントロール良好群で低率であったが有意差は認められなかった.
 年齢および罹病期間と検眼鏡的および螢光眼底造影所見の異常所見出現率との間に相関を認め,かつ両因子には相剰効果が認められた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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