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網膜の電気生理,他
著者: 三宅養三1
所属機関: 1名大
ページ範囲:P.128 - P.130
文献購入ページに移動網膜のdopaminergic neuronsがどのように視機能を制御しているかに関しては,不明な点が多いが,dopamineとERGの律動様小波(OP)との関係が注目されている.一方OPは暗順応後に記録した振幅より,光刺激を与えた後に記録した振幅が大きくなる現象(増幅現象)も古くより知られている.さらに暗順応下ではdopamineが光刺激に伴って放出される(ネコ)との報告もある.本論文はdopamineとOPの光刺激後の増大現象を結びつけた興味深い内容である.
Dopamine D2 receptorsに対して拮抗作用を示すmetoclopramideを正常者に静注した場合,上述したOPの増幅現象は生じず,光刺激後にOPの振幅は小さくなるという.この結果よりdopamineがなんらかの作用により,ヒト網膜のOP発生に関与する事が暗示された.その機序としてdopamineが分泌されると,D2receptorsからのnegative feed back機構により,dopamineの分泌を阻止する抑制が働く.逆にD2 receptorsをブロックするmetoclopramideを用いると,このnegative feed back機構が抑制され,dopamineが増加する可能性がある.
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