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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻2号

1988年02月発行

臨床報告

28カ月間良好な網膜機能を保った眼球銅症の1例

著者: 今井雅仁1 飯島裕幸1 武井美恵子1 関希和子1 山林茂樹1 佐々木隆弥1

所属機関: 1山梨医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.172 - P.175

文献概要

 硝子体中に銅片を確認したが,視機能良好なため2年半の長期間保存的に観察できた眼球銅症の1例を報告した.41歳男性の左眼に銅線の破片が飛入し,角膜中央の裂傷と水晶体の周辺部に飛入点を認める他は損傷はなく,後部硝子体中に微小異物が観察された.受傷18カ月後,水晶体の後嚢全体に軽度の緑褐色沈着を認め,19カ月後,硝子体混濁が増強し異物が確認できなくなった.しかしERGは,全経過を通じて左右差が認められず視力も1.2のままであった.28カ月後,硝子体融解とともに異物が水晶体後方に認められたため,vitrectomyを施行し異物を摘出した.摘出異物は長径1mmほどで,ICP発光法で銅含有量98%と判明した.
 本例で銅の純度が高いにもかかわらず,網膜機能が良好であったのは,銅異物が小さく,網膜損傷がないことなどによると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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