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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻2号

1988年02月発行

文献概要

臨床報告

Candida tropicalisによる内因性真菌性眼内炎の2症例

著者: 馬詰裕道1 石丸裕晃1 塩田洋1 三村康男1 大村和正2

所属機関: 1徳島大学医学部眼科学教室 2健康保険鳴門病院眼科

ページ範囲:P.183 - P.187

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 Candida tropicalisによる真菌性眼内炎の2症例を経験した.症例1は62歳男性で,外傷による脊髄損傷後,腎不全を併発.約2カ月間の人工透析を行い,その後両眼に眼内炎を発症した.症例2は60歳女性で,胃癌手術後に中心静脈カテーテルを挿入していたところ,3日後に発熱をきたしカテーテルを抜去した.しかし左眼に眼内炎を発症した.2症例とも急性期には,虹彩炎と網膜の羽毛状白色滲出斑が認められた.しかし,その後の経過では,視力予後に大きな差異を生じた.2症例とも入院後の動脈血培養,ウイルス抗体価検査で異常はなかった.また前房穿刺,硝子体吸引による物質の検鏡,培養所見で真菌は認められず,硝子体手術時の採取物質から真菌が検出されたことから確定診断の難しさを痛感した.真菌性眼内炎が重篤な経過をたどることを考えると,真菌が検出されなくとも本症が疑わしい場合には,診断と治療を目的として早期に硝子体手術を行うのが良いと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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