特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (2)
学会原著
家族性滲出性網膜硝子体症での視野異常
著者:
南部真一1
橋本和彦1
宮久保寛1
所属機関:
1群馬大学
ページ範囲:P.215 - P.221
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家族性滲出性網膜硝子体症60例91眼について,視野異常の形態と発生頻度,および眼底病変との関連について検討した.その結果,周辺部視野をI-4,V-4イソプターについて見ると,91眼中57眼63%は10度以上の周辺部視野異常を示していた.これらの視野変化は全て鼻側周辺部に出現し,視野狭窄または沈下として観察された.眼底病変との関連として,耳側網膜無血管野の広さおよび増殖性変化の有無による影響を3群に分類して検討した結果,無血管野の広いものでは65眼中45眼70%が10度以上の視野異常を示し,無血管野が広いもの程高度であった.この45眼中20度以上の高度な視野異常を示す29眼ではV字型変性が21眼72%に観察され,網膜無血管野とともにV字型変性が高度な視野異常の原因となっていた.増殖性の変化を持つ11眼では10眼91%に視野異常があった.このうち牽引性網膜剥離,網膜分離症が8眼80%を占めた.以上より,FEVRにおける周辺部視野異常には網膜の無血管野,V字型変性が関与しており,増殖性変化を有するものでは,眼底病変として牽引性網膜剥離,網膜分離症がその原因となっていることが判明した.