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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻3号

1988年03月発行

文献概要

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (2) 学会原著

増殖性硝子体網膜症に対する硝子体手術と360度シリコン埋没術の併用

著者: 出田秀尚1 石川美智子1 井上俊輔1 吉野幸夫1

所属機関: 1出田眼科病院

ページ範囲:P.223 - P.226

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 増殖性硝子体網膜症(PVR)の程度の強いものには,現在硝子体手術が行われている.この場合,網膜裂孔を閉鎖させるために強膜側からのバックルも同時に必要であるが,これには赤道部の上強膜を輪状に締結するexoplantと,赤道部から鋸状縁部にかけて強膜内に埋没するimplantの二通りがある.著者らは,1979年にPVRに対する硝子体手術を始めたが,初期の試行錯誤の段階で,exoplantよりimplantを360度行った方が良い結果が得られるという印象を得ていた.そこで1981年以降は,PVRで硝子体手術を要するものには全例360度のシリコン埋没術を併用している.過去5年間にPVRの程度C20眼とD69眼の計89眼に行った硝子体切除と,360度シリコン埋没の併用手術の成績を検討してみると,網膜の復位率が83.2%であった.これはexo-plantを併用している他の報告と比較してみると,著しく良好であることがわかった.これは,硝子体手術では十分に除去できない前部硝子体の輪状収縮と子午線方向の収縮を,implantの方がexo-plantより,より効果的に弛緩させる働きを持っているからだと考えられる.また,本術式は水晶体除去,網膜切開,あるいはシリコンオイルの使用などを最小限にとどめさせ,したがって手術による合併症も少ないと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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