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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻4号

1988年04月発行

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (3)

学会原著

乳頭上新生血管を伴った非定型網膜色素変性症

著者: 佐藤圭子1 池田誠宏1 三木徳彦2 河野剛也2

所属機関: 1大阪市立城北市民病院 2大阪市立大学付属病院

ページ範囲:P.355 - P.358

文献概要

 非定型網膜色素変性症の症例に乳頭上新生血管(NVD)の出現を認めた.症例は38歳,男性.左眼視力低下にて来院.既往歴,家族歴に特記事項なし.初診時視力は右0.8(1.0),左0.3(0.4).両眼底にvascular arcadeに沿う灰白色の輪状病巣を認め,左眼にNVDと網膜前および硝子体出血を認めた.螢光眼底検査は病巣に一致した過螢光とNVDよりの色素漏出および類嚢胞黄斑浮腫像を示した.ERG・EOGはsubnor-mal.Goldmann視野計にて弓状暗点を認め,第2次暗順応が低下していた.左眼に汎網膜光凝固を施行しNVDの退縮をみた.初診の約3年後には右眼にもNVDを生じた.網膜色素変性症のNVD合併例は,現在まで2報告のみでその発生機序は不明である.網膜および網膜色素上皮の変性に起因する炎症の存在,網膜循環不全による酸素供給の低下,さらに非定型網膜色素変性症における酸素供給の必要な健常網膜の残存などがNVD発生に関与したものと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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