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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻4号

1988年04月発行

文献概要

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (3) 学会原著

水晶体偽落屑物質の出現をみた原発緑内障症例の検討

著者: 布田龍佑1 清水勉1 古賀市郎1 小島裕二郎1 古吉直彦1 丸岡晶子1

所属機関: 1熊本大学

ページ範囲:P.377 - P.381

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 熊大眼科にて経験した水晶体嚢緑内障245例のうち,原発緑内障が先行し,水晶体偽落屑物質(PE material)が遅れて出現した症例が22例(9%)含まれていた.PE material出現前の診断の内訳は原発開放隅角緑内障(POAG)10例,原発閉塞隅角緑内障(PACG)12例であり,緑内障診断からPE出現までの期間は平均9年であった.これらの症例の90%に緑内障又は白内障手術の既往があった.PE materialの初発部位はPOAGでは瞳孔縁,PACGでは水晶体前面が多かった.
 POAG+PE群の特徴は,緑内障進行眼,高度の隅角色素沈着眼であった.PACG+PE眼ではこれらの特徴はみられず,両者の間には発生病態上差異のあることが予想された.
 PE material出現後,眼圧のコントロールが不良となる症例が50%にみられたことより,原発緑内障眼におけるPE materialの出現とその後の眼圧動態には厳重な注意を払うべきであると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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