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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻4号

1988年04月発行

文献概要

臨床報告

鼻腔腫瘤を伴った巨大な角膜デルモイドの1例

著者: 目代康子1 上野脩幸1 野田幸作1 玉井嗣彦1 相良祐介2 森木利昭3

所属機関: 1高知医科大学 2高知医科大学産科婦人科学教室 3高知医科大学中央検査部病理

ページ範囲:P.429 - P.432

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 右眼球上腫瘤と左鼻腔腫瘤を認めた生後2日目の男児の1例を経験した.右眼球表面は全体に皮膚様組織で被われており角膜,結膜強膜は認められず,角膜に相当する部より鶉卵大の皮膚で被われた,弾性軟の球状腫瘤が瞼裂より前方へきのこ状に突出しており,中間透光体,眼底の透見は不可能であった.左眼には異常なかった.CT検査では右眼球は左眼球とほぼ同じ大きさに造影されたが,角膜上に半球状の腫瘤が認められ,虹彩,水晶体は不明瞭であった.左眼球のCT像は正常であった.
 家族が早期の形成手術を希望したので,生後12日目にて右眼球上腫瘤と左鼻腔腫瘤を摘出した.13mm×10mm×10mmで,病理組織学的診断はデルモイドで,皮下に脂肪と結合組織の増殖が認められた.
 染色体検査は正常で,家族歴に特記すべきことはなく,真の誘因は不明であるが,臨床的に,右眼の腫瘍は角膜ほぼ全体にみられ,虹彩,水晶体は未発達だが,眼球後部は正常であり,小眼球症も認められなかったことから,胎生期の異常は水晶体形成中(胎生5〜7週頃)に生じたと推定される.術後8カ月経過した現在,両腫瘤に再発はなく,さらに経過観察中である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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