icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科42巻5号

1988年05月発行

雑誌目次

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (4) 学会原著

大腸腺腫症に合併する網膜色素上皮肥大

著者: 岡本寧一 ,   江木東昇 ,   高柳芳記 ,   井上治郎 ,   岩間毅夫 ,   金沢理昭 ,   三島好雄

ページ範囲:P.465 - P.468

 家族性大腸腺腫症(ポリポージス)は大腸に多数の腺腫ができる疾患で,これに軟部腫瘍等を合併するものをGardner症候群という.1980年にBlairらがGardner症候群に網膜色素上皮肥大を合併することを初めて報告した.我々は家族性大腸腺腫症19例について眼科的精査を行い,内9例に彼らと同様の色素上皮肥大と思われる色素斑を認めた.

クリスタリン網膜症の1例

著者: 篠原康之 ,   浦口敬治 ,   皆良田研介

ページ範囲:P.469 - P.472

 両眼の視力障害を主訴とした37歳女性のクリスタリン網膜症の1例を報告した.症例の両親と父方の祖父母は血族結婚であった.視力は右0.15(0.8),左0.3(1.0)で,角膜には結晶沈着物はなかった.両眼底後極部および乳頭周囲網膜には多数の黄白色の閃輝性点状沈着物がみられ,乳頭鼻側網膜には灰白色の色素むらがみられた.螢光眼底造影では,後極部の網膜色素上皮層の萎縮像と乳頭鼻側の脈絡膜毛細血管消失像が認められた.網膜の沈着物には螢光異常はみられなかった.周辺視野,ERG,色覚,暗順応に異常はなかったが,EOGには軽度の低下がみられた.全身的には特記すべきことはなかった.本症例においては,網膜色素上皮層に主たる病変があるものと考えられた.

多彩な眼虚血性病変を伴った側頭動脈炎の診断確定例

著者: 岩元義信 ,   永松啓爾 ,   佐野吉徳 ,   森内昭

ページ範囲:P.473 - P.477

 従来,わが国の眼科領域において報告のない生検により確定診断された側頭動脈炎の1例を報告した.症例は73歳男性で,眼合併症として左眼に前部虚血性視神経症,毛様網膜動脈閉塞症,網膜中心動脈閉塞症,脈絡膜循環遅延を認めた.ステロイド剤内服治療により右眼の発症は予防されたが,左眼は大きな乳頭陥凹を伴う視神経萎縮となり視力は回復しなかった.左側頭動脈生検にて巨細胞性動脈炎が認められ,側頭動脈炎と確定診断された.
 今後わが国においても詳細な眼所見の記載された側頭動脈炎の診断確定例の集積が必要と考えられた.

巨大裂孔による網膜剥離の手術術式の検討

著者: 高橋政代 ,   丹尾知子 ,   松村美代 ,   荻野誠周

ページ範囲:P.479 - P.483

 巨大裂孔による網膜剥離49例52眼について復位率を検討した.6カ月の経過観察で,全体の復位率は56%であった.巨大裂孔が難治となる条件として,アトピーに伴うもの,無水晶体眼に発症したもの,男性,裂孔の大きいもの,反転のあるものがあげられ,反対に外傷性のもの,女性,裂孔が小さく反転の無いものは予後が良かった.手術術式を経強膜手術,硝子体手術,ガスタンポナーデ後経強膜手術の3つに分けて復位率を比べると,反転の無い例ではどの術式も復位率に優劣つけがたく,最も合併症の少ない従来の経強膜手術で良いと思われた.反転のある例,180度を越えるような例では,ガスタンポナーデ後の経強膜法が良い復位率を得ており,現在のところ最も優れた方法と考えられた.巨大裂孔の治療に際しては,裂孔の状態に応じて,なるべく侵襲が少なく復位率の良い方法を選ぶべきである.

ぶどう膜炎患者の角膜内皮細胞変化について

著者: 片山寿夫 ,   鈴木隆司 ,   滝川泰 ,   錦織敏治 ,   岡本繁 ,   石幸雄 ,   藤原久子 ,   五島紳一郎

ページ範囲:P.485 - P.489

 種々の時期におけるぶどう膜炎患者52例(74眼)のスペクラーマイクロスコープによる角膜内皮細胞面積を計測し,次の結果を得た.
(1)肉芽腫性虹彩炎では,50%の症例で,正常範囲より拡大した面積を示した.
(2)非肉芽腫性虹彩炎では,ほとんど正常範囲面積を示した.
(3)角膜中央部と下方部の面積差はなかった.
(4)豚脂様角膜後面沈着物付着部位付近の内皮細胞面積は拡大傾向を示した.
 これらより豚脂様角膜後面沈着物は角膜内皮細胞への影響因子として重要であると考えられた.

ベンズアルデヒドの臨床応用(ベーチェット病の診断における意義)

著者: 池田潔 ,   本間啓蔵 ,   奥脇賢一 ,   宮田幹夫 ,   石川哲

ページ範囲:P.491 - P.494

 ベーチェット病と環境汚染物質との因果関係を調べるため,シンナー(トルエンが主成分)について検討した.1986年2月より1987年7月までに眼症状が増悪し,当科を受診したシンナーと接触のあるベーチェット病と診断された患者25名に対して,トルエンの代謝産物である血中ベンズアルデヒドおよび尿中馬尿酸について検索した.尿中馬尿酸濃度は全例で正常範囲内であったが,血中ベンズアルデヒド濃度は25名中16名で高濃度であった.コントロール群30名中,血中ベンズアルデヒドが高濃度を呈した者はわずかに1名であった.これらのことより,トルエンとの接触またはその代謝障害が直接的に,あるいは間接的に何らかの宿主側の因子を介してベーチェット病の発症に関与している可能性があり,その診断には血中ベンズアルデヒド濃度の測定が極めて重要であると考えられた.

ベーチェット病のシクロスポリン療法について プロモクリプチン併用の試み

著者: 板東康晴 ,   松田聡 ,   小木曽正博 ,   藤田善史 ,   三村康男

ページ範囲:P.495 - P.498

 難治性のベーチェット病患者におけるシクロスポリン療法の効果および副作用について検討した.当科にて加療中の難治性の眼症状を有するベーチェット病患者13例に対しシクロスポリン投与を行い,うち3例にプロモクリプチンを併用した.これらの症例について臨床経過およびシクロスポリン血清中濃度,血中プロラクチン濃度を検討した.
 シクロスポリンは投与を継続できた9例のうち7例の眼病変に対して有効であった.また,減量あるいは中断時に眼発作を生じた例が7例,眼外症状が悪化した例が2例あった.副作用として4例に血清クロアチニンの上昇,2例に肝機能の一過性の異常,8例に軽症の消化管症状,1例に高血圧,3例に多毛を認めた.プロモクリプチン併用により1例でシクロスポリン減量が容易になった.
 シクロスポリンは難治性の眼病変に対して有効であるが,副作用や減量時の眼発作が問題と考えられ,慎重に投与されるべきである.

葡萄膜炎患者の硝子体中リンパ球サブセット

著者: 栗山晶治 ,   砂川光子 ,   新井一樹 ,   荻野誠周

ページ範囲:P.499 - P.502

 葡萄膜炎患者4名に対し硝子体手術を施行し,その硝子体中および末梢血中のリンパ球サブセットについてOKシリーズのモノクローナル抗体を用いて比較検討した.
 症例 1(ベーチェット病で黄斑部裂孔を伴う),症例2(ベーチェット病で硝子体混濁が強く網膜剥離を伴う)においては硝子体中と末梢血中リンパ球サブセットは同様の変動を示した.症例3(分類不能の全葡萄膜炎で硝子体混濁が強い)および症例4(桐沢型葡萄膜炎で裂孔原性網膜剥離を伴う)においては硝子体中と末梢血中のリンパ球サブセットには何ら相関関係は認められなかった.硝子体中に認められた細胞は主としてリンパ球で,その他に形質細胞,マクロファージ,線維芽細胞,赤血球,好中球が認められた.これらのことより硝子体中リンパ球サブセットの変動を末梢血のそれと比較することによりblood-retinal barrierの破綻の程度を推測できるのではないかと考えた.

白内障手術における縫合糸の評価 ポリグリコール酸糸8-0,9-0,およびシルク糸9-0について

著者: 前田利根 ,   竹中康雄 ,   土坂寿行

ページ範囲:P.503 - P.505

 比較的初心者の執刀による計画的水晶体嚢外摘出術(ECCE)26例31眼を対象として9-0silk糸,8-0 polyglycolic acid (PGA)糸および9-0PGA糸の評価を行った.強角膜はそれぞれの縫合糸を用いて5針の単結紮縫合を行い,術後3カ月間縫合糸周囲の刺激症状および角膜乱視の経時的変化について検討を加えた.各縫合糸を使用した群で,術後1週間目に4から6ディオプターの直乱視が認められたが,この乱視は漸次軽減して3カ月目にはほぼ消失した.乱視の変遷に関しては3種の縫合糸とも同様の傾向を認めたが,術後3カ月目の検査結果,2種のPGA糸に比較し,9-0 silk糸に乱視のばらつきが認められた.また,縫合糸周囲の刺激症状に関しては9-0 silk糸,9-0 PGA糸がほぼ同等の刺激症状を示したのに対し,8-0 PGA糸は術後早期に強い炎症所見が認められた.

Pars Plana Lensectomyによる角膜内皮損傷 水晶体前嚢およびシリコン・オイル硝子体腔内注入の影響について

著者: 吉田定信 ,   林田中 ,   千原悦夫 ,   澤田惇

ページ範囲:P.506 - P.512

 超音波乳化吸引術(KPE)を用いたparsplana lensectomy 8例9眼における水晶体前嚢保存の有無とシリコン・オイルの角膜内皮との接触の有無による角膜内皮障害への影響をみるためスペキュラー・マイクロスコープおよび直接画像入力法を用いて術前・術後の角膜中央部の内皮細胞の形状変化を検討し次の結論を得た.
 シリコン・オイル非注入眼では,KPE中に水晶体前嚢を破損した症例の術後2カ月の角膜内皮細胞減少率は平均20.0%で前嚢保存例の平均9.0%に比べ有意に大きな値を示した(t-test, p<0.05).シリコン・オイル硝子体腔内注入眼では,シリコン・オイルが角膜内皮に直接接触した症例の術後2カ月の角膜内皮細胞数減少率は平均27.6%で,シリコン・オイルが角膜内皮に接触しなかつた症例の平均12.9%に比べ有意に大きな値を示した(t-test, p<0.05).Pars plana lensectomyではKPE中に保存した水晶体前嚢がKPEの超音波エネルギーや乳化した水晶体の微粒子および灌流液に対してmechanical barrierとなり,角膜内皮細胞障害を防止すると考えられた.また,術中に保存した水晶体前嚢は,シリコン・オイル硝子体腔内注入眼において,シリコン・オイルの前房内への迷入および角膜内皮との接触を阻止し,角膜内皮障害を防止すると考えられた.

眼内レンズ移植眼の網膜光障害に対する紫外線フィルターの効果

著者: 瀧島宏美 ,   沖坂重邦 ,   横谷智

ページ範囲:P.513 - P.516

 眼内レンズ移植術中の網膜光障害の予防対策として手術用顕微鏡に紫外線(UV)フィルターを装着することの有効性について検討した.両眼の眼内レンズ移植患者20症例にトプコンOMS-320を用いて,眼内レンズ移植時に片眼は波長420nm以下をカットするHOYAシャープカットフィルターを装着,他眼はUVフィルター装着せず手術を施行した.術後1〜2週と3カ月目に螢光眼底造影を施行し,左右眼の網膜光障害の程度について比較検討した.網膜光障害の発生について手術時間・術者・術後の視力などに相関関係は認めなかった.20症例のうち2眼だけ網膜光障害の発生を認め,2眼ともUVフィルター未使用例であった.眼内レンズ移植後,UVフィルターを装着することにより網膜光障害の発生を予防できることが確認された.

長崎大学眼科25年間にみられた脂腺癌について

著者: 高木敏博 ,   津田暢夫 ,   島田修 ,   堀真

ページ範囲:P.517 - P.519

 長崎大学眼科で経験した脂腺癌21例を臨床病理学的に検討した.脂腺癌,基底細胞癌,扁平上皮癌の組織標本での鑑別点を記載した.脂肪染色が重要と思われた.臨床所見は諸家の報告と大差がなかった.

眼球鉄症の検討

著者: 三木耕一郎 ,   竹内正光 ,   出口順子 ,   高橋寛二 ,   伊東良江 ,   宮内美和子

ページ範囲:P.520 - P.524

 眼球鉄症の2例を組織学的に検討し報告した.第1例は,32年前に眼外傷にて2回手術を受けている.今回は受傷眼の充血と疼痛にて来院,レントゲン写真,CT検査などにて眼内異物を認めた.視力は光覚と悪く,眼痛が激しいため眼球摘出を行った.異物は虹彩裏面で毛様体との境界部に存在していた.光顕にては,虹彩,毛様体,網膜は荒廃し,鉄染色陽性細胞が散見できた.電顕的にはsiderosomeやferritin粒子を上皮系細胞やMüller細胞に多数認めた.第2例は,3年前に外傷の既往があるが,当時眼内異物は発見されていない.今回,水晶体嚢外摘出術時,前嚢を摘出し組織学的に検討すると,前嚢下の色素沈着部に一致して鉄染色陽性所見を認めた.眼底には黄斑反射の消失があり,術後視力は0.5であった.
 診断能力の向上,手術の進歩により眼球鉄症は減少している.しかし,高性能な機械を使用しても発見できない微小の鉄においても眼球鉄症は発症し,一旦発症した場合,有効な治療方法はない.眼内異物が疑わしい時は徹底した観察が必要である.

眼感染症サーベイランス情報の解析

著者: 青木功喜 ,   能戸清 ,   沢田春美 ,   丹羽巽 ,   長屋幸郎 ,   太箸全孝 ,   鎌田龍二 ,   石川秀夫

ページ範囲:P.525 - P.528

 1983年から我が国で開始された感染症サーベイランス事業を眼科医のサイドから検討を加えた.現行の患者年齢区分は小児期に偏っており,急性出血性結膜炎の好発年齢層である老人の区分がみられず,眼感染症のサーベイランスには適切でない.アデノウイルスB群による咽頭結膜熱は,eye to eyeの感染よりも飛沫感染と共に,腸管増殖後の便よりの排泄などが感染経路として重要であり,予防対策上注意すべきである.従来少なかったAd4による眼感染症は最近の増加傾向にあり,咽頭結膜熱や流行性角結膜炎の症状を呈するため病因との対比が必要である.Ad8は学校,家庭における集団発生や院内感染の原因であり,潜伏期間が長いことやその増殖スピードが遅いことから,感染する機会が他の型のアデノウイルスよりも多い.眼感染症の新しい病原体としてAd37やコクサッキーウイルスA24の変異株も地域別に増加しており,サーベイランス情報の効率良い運用には,検査定点の活用が不可欠となっている.

両眼角膜移植症例の検討

著者: 高橋俊明 ,   熊谷俊一 ,   渡辺敏明 ,   田澤豊

ページ範囲:P.529 - P.532

 1974年1月から1987年3月までに岩手医大眼科で行った全層角膜移植312眼のうち,両眼に移植手術が成された20例40眼について検討を行った.
 1.20例40眼の透明治癒率は62.5%であった.疾患別では円錐角膜が100%,角膜ジストロフィーが37.5%,角膜白斑が58.3%であった.
 2.両眼に角膜移植を受けた症例において,移植第1眼の透明治癒率は55.0%,第2眼は70.0%であったが,推計学的には有意差はなかった.
 3.両眼角膜移植症例の移植第1眼と第2眼において,移植間隔が1年以内の透明治癒率は44.4%,1年以上では77.3%であり,手術間隔を1年以上開けた方が有意に透明治癒率が高かった.
 4.donorの年齢と透明治癒率との間には,有意な相関は認められなかった.

Amiodarone Keratopathy

著者: 中野秀樹 ,   河野恵子 ,   山口巌 ,   早乙女俊一

ページ範囲:P.533 - P.536

 1.Amiodaroneを長期投与中の難治性不整脈患者5名全例の両眼に角膜症の発現を認めた.
 2.角膜症以外に,明らかな眼科的異常所見を確認し得ず,また平均6カ月間の観察期間中に,視機能の低下を認めなかった.
 3.角膜症は,amiodaroneの総投与量が増すにつれて進行する傾向が見られた.
 4.涙液脂質濃度を測定した結果,角膜症を持つ患者群は,正常群よりも明らかに燐脂質の濃度が高く,涙液脂質濃度の上昇と角膜症発生・進行との間の因果関係が強く示唆された.

学術展示

角膜ヘルペスの治療に対するインターフェロンの応用

著者: 塩田洋 ,   内藤毅 ,   楠島康平 ,   加藤俊彦 ,   三村康男

ページ範囲:P.542 - P.543

 緒言 角膜ヘルペスに対しステロイドの使用は,単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus, HSV)の増殖を促して角膜潰瘍を再発させたり,あるいは既に出来ている角膜潰瘍を増悪させるため,一般にその使用は禁忌とされている.しかし角膜浮腫が強い場合あるいは角膜移植術後ステロイドを使用せざるをえないことがある.このような場合,ステロイドをインターフェロン(IFN)と併用して安全に使用できないかを検討した.

新生血管黄斑症を合併した両眼性脈絡膜骨腫の1例

著者: 石丸裕晃 ,   馬詰裕道 ,   藤田善史 ,   三村康男

ページ範囲:P.544 - P.545

 緒言 脈絡膜骨腫(choroidal osteoma)は,脈絡膜骨分離腫(osseous choristoma of the choroid)とも呼ばれ,1978年にGassらが報告して以来,注目されている疾患である.これまで数十例の報告があるが,新生血管黄斑症を合併した症例の報告はほとんど認められず,その治療に関して統一された見解はない.今回我々は新生血管黄斑症を合併した両眼性脈絡膜骨腫の1例を経験し,興味ある経過を観察することができたので報告する.

円錐角膜患者の性格の特徴について

著者: 安本京子 ,   宮本裕子 ,   福田昌彦 ,   西田輝夫 ,   大鳥利文 ,   米虫節夫

ページ範囲:P.546 - P.547

 緒言 円錐角膜は慢性で進行性の角膜疾患であるが,その病因はいまだ不明である1).円錐角膜患者は,他の角膜疾患の患者に比し特徴ある性格を有することを外来でしばしば実感する.患者の性格を知ることは,疾患の管理上きわめて大切であるのみならず,本疾患の病態解明の糸口を与える可能性もあると考えられる.円錐角膜の性格的傾向を明らかにするために矢田部-Guilford性格検査(Y-Gテスト)および絵画欲求不満テスト(P-Fスタディ)を行い,屈折異常のない正常対照群との差異について統計学的検討を加えたので報告する.

乳頭周囲色素上皮症

著者: 生塩昌代 ,   小嶋嘉生 ,   田中俊郎 ,   吉岡久春

ページ範囲:P.548 - P.549

 緒言 強度近視にみられる眼底所見としては視神経乳頭の変形,コーヌス,豹紋様眼底,網脈絡膜萎縮,黄斑部脈絡膜新生血管,黄斑部出血,Lacquer cracks,Fuch's spot, Punctate inner choroidopathy,後部ぶどう腫,および黄斑円孔などが記載1,2)されている.
 今回我々は,強度近視の視神経乳頭周囲網膜に従来記載のない網膜色素上皮症の4例を経験したので症例を報告する.

円錐角膜患者1,981名の臨床的観察

著者: 金井淳 ,   藤木慶子 ,   曲谷久雄 ,   高野俊之 ,   伊東延子 ,   中島章

ページ範囲:P.550 - P.551

 緒言 円錐角膜は成長期から発病し,強い近視と角膜の不正乱視を示す疾患で,著者らは我国での発症頻度を男性6,000人に1人,女性17,500人に1人と推定した1).本症は進行中にデスメ膜破裂を生じたり,角膜菲薄化のため角膜移植を要することがある.著者らは本症患者1,981名の臨床所見および長期経過観察を行い,進行状況について調べたので報告する.

網膜色素変性症近縁疾患にCoats病様病変を合併した症例

著者: 山辺みどり ,   佐々本研二 ,   山出新一

ページ範囲:P.552 - P.553

 緒言 網膜色素変性症は検眼鏡的に特徴的な眼底所見を呈する遺伝性疾患であるが,臨床的に多くの病態を含むため,類似の臨床像を示す疾患をまとめて網膜色素変性症症候群とも呼ばれている.今回筆者らは,網膜色素変性症近縁疾患にCoats病様病変を合併した症例を経験したので,その経過を以下に報告する.

VDT作業における静電気の影響

著者: 渥美一成 ,   樺山力 ,   有木玄 ,   西田祥蔵

ページ範囲:P.554 - P.555

 緒言 VDT作業者の目の違和感に対して調節系よりのアプローチ1)は多いが,角結膜障害についての報告2)は少ない.涙液機能については涙液分泌機能低下の報告3)は散見するが,原因については明確ではない.また,静電気については皮膚障害の報告4)はあるが,目に対する影響については報告がない.今回,実験的条件下でCRTディスプレイ面に発生する静電気の及ぼす角結膜への影響について塵埃,涙液機能と共に検討した.

老人性円板状黄斑変性症の自然経過 悪化例に関する検討

著者: 白神史雄 ,   松尾信彦 ,   辻俊彦 ,   三原正義 ,   清水慶一 ,   那須好滋

ページ範囲:P.556 - P.557

 緒言 老人性円板状黄斑変性症の自然経過を観察していると出血性あるいは滲出性網膜色素上皮剥離が再発したり,長期にわたって滲出性変化が持続し,容易には円板状瘢痕に至らない場合がある.そこで,こういった悪化が中心視力の経過にどの程度影響するか,またいかなる因子が危険因子として作用するかについて検討した.

2,3の黄斑部疾患に関する考案 中高年にみられるドルーゼン,小型の漿液性色素上皮剥離および色素上皮の萎縮

著者: 湯沢美都子 ,   黄智申 ,   松井瑞夫

ページ範囲:P.558 - P.560

 緒言 近年加齢にもとづく黄斑部所見が注目されるようになった1,3).そこで筆者らは中高年を対象にし,網膜下新生血管板や大型の漿液性色素上皮剥離のない加齢にもとづく黄斑部所見を検討した.

小諸厚生総合病院眼科における糖尿病患者の現況

著者: 芝崎喜久男 ,   今井済夫

ページ範囲:P.562 - P.563

 緒言 糖尿病性網膜症は,成人における失明原因のもっとも多い疾患のひとつである.従来,糖尿病性網膜症に関する報告は大学の糖尿病外来におけるものが多かった.今回,私どもは当院内科より紹介された糖尿病患者について網膜症の発生頻度,罹病期間との関係などについて調査し,一地方病院眼科における糖尿病患者の特徴について検討した.

糖尿病性網膜症に対する汎網膜光凝固療法施行後の黄斑症—背景臨床因子の影響

著者: 船津英陽 ,   北野滋彦 ,   小松茂 ,   堀貞夫

ページ範囲:P.564 - P.565

 緒言 糖尿病性網膜症(DR)に対して汎網膜光凝固療法(PRP)施行後に視力低下する例が少なくなく,その原因の多くは糖尿病性黄斑症の悪化に起因する1〜3).そこで我々はPRP施行前後における黄斑症の発症および増悪に関与する種々の臨床因子を解析し,多変量解析法を用い,術前より治療予後の予測をたて,黄斑症の悪化の予防策について検討した.

若年者にみられた網膜中心静脈閉塞症2例の臨床経過

著者: 中村淳夫 ,   佐渡一成 ,   岩崎ゆり ,   稲垣有司 ,   田中稔

ページ範囲:P.566 - P.567

 緒言 今回我々は若年者の片眼に乳頭血管炎1)によって引き起こされたと思われる中心静脈閉塞症の2例を経験したのでここに報告する.
 症例 1:14歳男性.1986年10月7日右眼霧視を訴えて来院.乳頭血管炎と診断しステロイド,抗生剤,止血剤,ビタミン剤を併用した.1カ月後に症状軽快がみられたので中止したところ急激な視力低下を生じたため,ステロイド漸減療法を再開した.その後しだいに視力は回復し,発症後11カ月後にはRV=1.2となった.

Birdshot retinochoroidopathyと考えられた1例

著者: 舩田雅之 ,   中西祥治 ,   奥間政昭 ,   松浦啓之 ,   藤永豊

ページ範囲:P.568 - P.569

 緒言 Birdshot retinochoroidopathyは1980年Ryanら1)によって,その眼底病変の特徴的形態から名づけられた散在性滲出性網脈絡膜炎の新しい1病型である.その病因として網膜に対する自己免疫性疾患の可能性が示唆されている.今回,我々は本症と考えられる1症例を経験したので報告する.

糖尿病性網膜症にみられた中心窩網膜新生血管

著者: 小嶋嘉生 ,   吉岡久春

ページ範囲:P.570 - P.571

 緒言 糖尿病性網膜症(DR)の網膜新生血管(NV)は,乳頭面および乳頭縁から中間周辺部網膜に好発し,黄斑部にNVはおこらないといわれている1,2).今回我々は,黄斑部中心窩縁のNVを伴った増殖型DRを経験したので症例を報告する.

慶應義塾大学眼科におけるVEPの臨床応用に関する統計学的検討

著者: 山田千左 ,   松田秀穂 ,   真島行彦 ,   小口芳久

ページ範囲:P.572 - P.573

 緒言 近年,電気生理学的検査の発達に伴い,視機能の他覚的評価にflashおよびpattern VEPは広く臨床的に応用されつつある.当科においては,VEP検査は1975年より行われ,現在1万件を越えるほどになっている.今回,過去3年間のVEP検査の臨床応用の現状を把握し,年齢および疾患分布,その有用性につき検討したので報告する.

色素性静脈周囲網脈絡膜萎縮の1例

著者: 三浦雅博 ,   冨川節子 ,   原彰 ,   清水由規

ページ範囲:P.574 - P.575

 緒言 色素性静脈周囲網脈絡膜萎縮(pigmentedparavenous chorioretinal atrophy)は,1962年Franceschetti1)により名付けられた網膜血管に沿う網脈絡膜萎縮を特徴とする稀な疾患である.本症についての報告は種々みられるが,その病因が炎症性,変性または先天異常に基づくものなのかは未だ不明で統一的な見解が得られていない.
 今回我々は典型的な病像を有する色素性静脈周囲網脈絡膜萎縮に遭遇し,パノラマ写真による検眼鏡的検査,螢光造影検査を行い,眼底全体での病巣分布状態を検査した.加えて,30サイクルflicker ERG, EOGを実施し,パノラマ眼底写真にみられた病巣の広がりと電気生理学的検査の結果を対比させ,本症の病因について若干の検討を加えたので報告する.

連載 眼科図譜・263

網膜下増殖組織の実体顕微鏡的特徴

著者: 岡田守生 ,   松村美代 ,   荻野誠周

ページ範囲:P.454 - P.455

 網膜下増殖組織は,網膜剥離が長期間続いた場合に形成される.増殖性硝子体網膜症でも,増殖性糖尿病性網膜症による網膜剥離でも,手術的に切除された組織の観察から形成された網膜下増殖組織の特徴には差異は認められない.
 実体顕微鏡による顕微鏡的な観察では,前号のごとく,1)増殖膜の厚み,2)細胞成分と細胞外成分(線維状に見える構造)割合,3)色素の多少,4)血管の有無,が良い指標となるので,以下に網膜前増殖組織と比較して網膜下増殖組織の特徴を述べる.

今月の話題

緑内障の早期診断

著者: 溝上国義

ページ範囲:P.457 - P.461

 緑内障視野障害は回復不能であり,早期診断が重要である.このために乳頭陥凹所見,網膜神経線維層萎縮所見を確実にとらえること,近年普及した自動視野計による視野計測の有用性と限界を知ることが必要である.

眼の組織・病理アトラス・19

軟性白斑(綿花様白斑)

著者: 猪俣孟

ページ範囲:P.462 - P.463

 眼底病変において,網膜の1部が混濁し,検眼鏡的に白色または黄白色の病巣として認められるものは,病態のいかんにかかわらず,白斑または滲出斑と呼ばれる.網膜の白斑は軟性白斑softexudatesと硬性白斑hard exudatesに区別される.
 軟性白斑は毛羽だった灰白色を呈し,境界不鮮明な病巣として観察され,綿花様白斑cotton-wool patchesとも呼ぶ.高血圧性網膜症,糖尿病性網膜症,網膜静脈閉塞症,白血病,うっ血乳頭,全身性紅斑狼瘡(SLE)など,種々の疾患で見られる.網膜内層とくに神経線維層の病変で,網膜神経線維の瘤状腫大,フィブリンの集塊,白血球の集塊などが存在する場合に軟性白斑として観察される.軟性白斑の境界が不鮮明であるのは,網膜の神経線維が網膜面に平行に走っているためである.

最新海外文献情報

嚢胞状黄斑部浮腫,他

著者: 岡野正

ページ範囲:P.538 - P.539

Perkovich BT, Meyers SM : Systemic factors affecting diabetic macular edema. Am J Ophth-almol 105 : 211-212, 1988
 人工透析で嚢胞状黄斑部浮腫が速やかに軽減し,この効果が腎移植後に安定して維持されたという報告である.症例は,糖尿病に16年罹病した48歳の男子で,両眼とも汎網膜光凝固をうけ,右眼には既に硝子体手術がしてあるが,黄斑円孔があった.高血圧200/116mmHgとなり,左眼に黄斑浮腫が生じ,左矯正視力が0.8から0.5に低下した.人工透析1カ月後には,血圧は160/70に改善し,それにともなって黄斑浮腫は消褪し,視力は0.8に回復した.その後腎移植をうけ,高血圧などの治療薬剤は不要となり,黄斑浮腫は消褪したままであった.以上は,黄斑浮腫に関する高血圧や腎移植についての従来の報告と同じ結果であった.糖尿病患者の黄斑部の浮腫や嚢胞形成に,高血圧や,黄斑への血液循環量過剰が関係しているらしい.したがって,血圧の調整や血行循環の積極的な治療が敏速かつ適切なら,黄斑部に対する光凝固が不要となる可能性があるという.但し,本報では,糖尿病性網膜症に生じた嚢胞性黄斑浮腫と血管攣縮性黄斑症とを,はっきりさせていないきらいがある.
 なお,糖尿病性黄斑症に対して格子状黄斑部光凝固が必要か否かは,従来の関連した幾つかの報告も含め,さらに最近報告された小椋(京大眼科)らの高圧酸素療法による成果なども併せ,慎重に検討されるべきであろう.

臨床報告

家族性滲出性硝子体網膜症と第一次硝子体過形成遺残

著者: 西村みえ子 ,   山名敏子

ページ範囲:P.576 - P.580

 家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)に合併したいわゆる第一次硝子体過形成遺残(PHPV)の特徴を検討し,その結果をもとに過去にPHPVと診断された症例を再検討し,FEVRの頻度を検索した.
 FEVRに合併した前部型PHPVは特徴を認めないが,後部型PHPV (鎌状網膜襞)は網膜襞が耳側に多かった.網膜嚢は,新生血管主導型(66.7%)と第一次硝子体主導型(33.3%)とがあり,後部型PHPVの名称は不適当であった.
 過去にPHPVと診断された例のうち,FEVRは,前部型PHPV (疑いを含む)27眼中3眼11.1%,鎌状網膜襞53眼中43眼81.1%を占めた.前部型PHPVには,水晶体後部線維増殖症との鑑別が困難な例や両眼性例が少なくなく,FEVRの頻度はこれより高いと推定された.
 鎌状網膜襞におけるFEVRの診断の要点を述べた.FEVRは前部型PHPV,水晶体後部線維増殖症,鎌状網膜襞の原因疾患として重要である.

糖尿病症例の眼内レンズ挿入術と角膜内皮障害について

著者: 上谷彌子 ,   永原國宏 ,   高塚忠宏 ,   久保田健次

ページ範囲:P.581 - P.584

 1.白内障を有する糖尿病患者30症例の眼内レンズ挿入術術前,および術後3カ月の角膜内皮細胞の動態を観察した.
 2.糖尿病症例の角膜内皮細胞は,術前より細胞の大小不同(大きさのバラツキ:Polymegath-ism),細胞の多形性(形のバラツキ:Pleomor-phism)がコントロール群に比し有意に増加していた.
 3.術後も糖尿病症例とコントロール群間の細胞の大小不同,細胞の多形性の有意差が認められた.
 4.しかし糖尿病症例群での術後の顕著な細胞の大小不同や多形性の増加はなく,手術および眼内レンズ挿入の影響によると考えられる角膜内皮障害は,術後3カ月ではほとんど無視できると思われた.

晩発性に急性緑内障発作を起こした後部型第一次硝子体過形成遺残と考えられる1例

著者: 横井則彦 ,   久山元

ページ範囲:P.585 - P.588

 晩発性に急性緑内障発作を起こした後部型第一次硝子体過形成遺残と考えられる31歳男性の症例について報告した.前部型第一次硝子体過形成遺残に伴う閉塞隅角緑内障は従来より報告されているが,本症例は術後の超音波検査で小眼球症が推察されたが,水晶体後部線維血管膜や毛様体突起の延長は明確ではなく,前部型第一次硝子体過形成遺残の合併を示唆する所見は乏しかった.
 眼底には乳頭から前部硝子体,毛様体近傍に至る硝子体中の索状物を認め,さらに黄斑部領域の色素性の網脈絡膜の変化,および網膜血管の白鞘化などから後部型第一次硝子体過形成遺残に発症した急性緑内障と思われた.
 摘出水晶体は比較的小さいが厚みをもっており,膨脹白内障に,小眼球に伴いやすい浅前房が影響した結果,緑内障発作を招来したものと考えた.

レーザー虹彩切除による角膜障害について

著者: 千原悦夫 ,   二見要介 ,   山元章裕 ,   吉田定信 ,   澤田惇 ,   森秀夫 ,   松村美代

ページ範囲:P.589 - P.591

 92名133眼の狭隅角眼(AACG 25眼,CACG 60眼,予防手術48眼)においてアルゴンレーザーによる虹彩切除術(ALI)を施行し,129眼97%において永続する穿孔を得た.CACGと予防手術後の一過性眼圧上昇(5mmHg以上)は108眼中30眼(28%)にみられ,corneal burnは133眼中15眼11%にみられた.術後の角膜内皮障害は軽度でhexagonalityが一過性に13.6%,細胞密度も一過性に5.9%低下したが,いずれも統計学的に有意な減少ではなかった.偏平率と変動係数にも有意の差がなく代償不全をおこすような重篤な合併症は認められなかった.穿孔不成功例は4眼でAACG眼に8%と多く,患者の固視不良,虹彩面の滲出物,浅前房,角膜混濁が主な原因であった.

文庫の窓から

秘傳眼科全書

著者: 中泉行信 ,   中泉行史 ,   斉藤仁男

ページ範囲:P.592 - P.593

わが国の眼科が中国(明代)眼科の強い影響を受けて発展してきたということはよく知られていることであるが,ことに中世から近世の江戸時代全期にかけては,中国からの原書の輸入と相俟って翻刻が盛んとなり,わが国で印刷した,いわゆる和刻本漢籍書が次々に出版された.「秘伝眼科全書」はこうした和刻本の一つであって,中国(明・清代)眼科専門書の和刻本,「銀海精微」「原機啓微」「審視瑤函」等と並んで最も広く行われた眼科書である.わが国で行われた版には貞享5(1688)年版,寛政3(1791)年版等があるが,これらは同一版木による重版とみられる.巻数は両版とも6巻で,貞享版が6冊綴りに対し,寛政版は3冊よりなる.貞享5年版に既に重刊の叙を掲げている処から,わが国にはそれ以前に初版が行われたものと思われる.(河本重次郎博士)
 本書の貞享版には哀学淵(武夷の人,晴峰と号す)輯著,楊春栄繍梓となっていて,その跋によると青木芳庵(竹雨斉青木東庵の同族,眼療に精しく法橋に叙せられ,御医となる,東庵竹雨斉は慶安3年京都に生れ,名を澄,字元澄,東庵,松岳と号す)によって和点が施されたことが窺える.

Group discussion

葡萄膜炎

著者: 鬼木信乃夫

ページ範囲:P.595 - P.598

座長藤原久子助教授(川崎医大),佐々木一之教授(金沢医大),大野重昭助教授(北大),湯浅武之助助教授(阪大),鬼木信乃夫(筑紫野市),青木功喜博士(札幌市),三村康男教授(徳大)—以下敬称略—
 また,討論の項は,質問と答弁用紙が揃っているもののみ掲載したことを最初におことわりする.

眼先天異常

著者: 馬嶋昭生

ページ範囲:P.599 - P.601

1.口唇裂を伴う先天性索状瞼縁癒着の一症例について
 両側性口唇裂を合併した,Ankyloblepharon filifor-me adnatumの1例を報告した.索状物の病理学的検索の結果,周囲は角化重層扁平上皮でとり囲まれていたが表皮側と角膜側で差があり,後者では角化不全,表皮乳頭の発達が乏しかった.また毛嚢,筋線維様所見も認められた.下眼瞼と口唇が上顎丘間葉細胞由来であり,その発育過程で何らかの異常があったのと推定した.

--------------------

原著論文の書き方について

ページ範囲:P.602 - P.602

 論文を書く上で一番大切なことは,何故この論文を書くに至ったのかという理由がはっきり示されることと,この研究によって新しくわかった知識は何であるかということを,はっきりと示すことであろうと思います。
 以下,具体的に順を追って述べてみたいと思います。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?