文献詳細
特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (4)
学会原著
文献概要
両眼の視力障害を主訴とした37歳女性のクリスタリン網膜症の1例を報告した.症例の両親と父方の祖父母は血族結婚であった.視力は右0.15(0.8),左0.3(1.0)で,角膜には結晶沈着物はなかった.両眼底後極部および乳頭周囲網膜には多数の黄白色の閃輝性点状沈着物がみられ,乳頭鼻側網膜には灰白色の色素むらがみられた.螢光眼底造影では,後極部の網膜色素上皮層の萎縮像と乳頭鼻側の脈絡膜毛細血管消失像が認められた.網膜の沈着物には螢光異常はみられなかった.周辺視野,ERG,色覚,暗順応に異常はなかったが,EOGには軽度の低下がみられた.全身的には特記すべきことはなかった.本症例においては,網膜色素上皮層に主たる病変があるものと考えられた.
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