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特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (4) 学会原著
Pars Plana Lensectomyによる角膜内皮損傷 水晶体前嚢およびシリコン・オイル硝子体腔内注入の影響について
著者: 吉田定信1 林田中1 千原悦夫1 澤田惇1
所属機関: 1宮崎医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.506 - P.512
文献購入ページに移動シリコン・オイル非注入眼では,KPE中に水晶体前嚢を破損した症例の術後2カ月の角膜内皮細胞減少率は平均20.0%で前嚢保存例の平均9.0%に比べ有意に大きな値を示した(t-test, p<0.05).シリコン・オイル硝子体腔内注入眼では,シリコン・オイルが角膜内皮に直接接触した症例の術後2カ月の角膜内皮細胞数減少率は平均27.6%で,シリコン・オイルが角膜内皮に接触しなかつた症例の平均12.9%に比べ有意に大きな値を示した(t-test, p<0.05).Pars plana lensectomyではKPE中に保存した水晶体前嚢がKPEの超音波エネルギーや乳化した水晶体の微粒子および灌流液に対してmechanical barrierとなり,角膜内皮細胞障害を防止すると考えられた.また,術中に保存した水晶体前嚢は,シリコン・オイル硝子体腔内注入眼において,シリコン・オイルの前房内への迷入および角膜内皮との接触を阻止し,角膜内皮障害を防止すると考えられた.
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