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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻5号

1988年05月発行

文献概要

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (4) 学会原著

Pars Plana Lensectomyによる角膜内皮損傷 水晶体前嚢およびシリコン・オイル硝子体腔内注入の影響について

著者: 吉田定信1 林田中1 千原悦夫1 澤田惇1

所属機関: 1宮崎医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.506 - P.512

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 超音波乳化吸引術(KPE)を用いたparsplana lensectomy 8例9眼における水晶体前嚢保存の有無とシリコン・オイルの角膜内皮との接触の有無による角膜内皮障害への影響をみるためスペキュラー・マイクロスコープおよび直接画像入力法を用いて術前・術後の角膜中央部の内皮細胞の形状変化を検討し次の結論を得た.
 シリコン・オイル非注入眼では,KPE中に水晶体前嚢を破損した症例の術後2カ月の角膜内皮細胞減少率は平均20.0%で前嚢保存例の平均9.0%に比べ有意に大きな値を示した(t-test, p<0.05).シリコン・オイル硝子体腔内注入眼では,シリコン・オイルが角膜内皮に直接接触した症例の術後2カ月の角膜内皮細胞数減少率は平均27.6%で,シリコン・オイルが角膜内皮に接触しなかつた症例の平均12.9%に比べ有意に大きな値を示した(t-test, p<0.05).Pars plana lensectomyではKPE中に保存した水晶体前嚢がKPEの超音波エネルギーや乳化した水晶体の微粒子および灌流液に対してmechanical barrierとなり,角膜内皮細胞障害を防止すると考えられた.また,術中に保存した水晶体前嚢は,シリコン・オイル硝子体腔内注入眼において,シリコン・オイルの前房内への迷入および角膜内皮との接触を阻止し,角膜内皮障害を防止すると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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