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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻5号

1988年05月発行

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (4)

学会原著

眼球鉄症の検討

著者: 三木耕一郎1 竹内正光1 出口順子1 高橋寛二2 伊東良江2 宮内美和子2

所属機関: 1関西医科大学附属香里病院眼科 2関西医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.520 - P.524

文献概要

 眼球鉄症の2例を組織学的に検討し報告した.第1例は,32年前に眼外傷にて2回手術を受けている.今回は受傷眼の充血と疼痛にて来院,レントゲン写真,CT検査などにて眼内異物を認めた.視力は光覚と悪く,眼痛が激しいため眼球摘出を行った.異物は虹彩裏面で毛様体との境界部に存在していた.光顕にては,虹彩,毛様体,網膜は荒廃し,鉄染色陽性細胞が散見できた.電顕的にはsiderosomeやferritin粒子を上皮系細胞やMüller細胞に多数認めた.第2例は,3年前に外傷の既往があるが,当時眼内異物は発見されていない.今回,水晶体嚢外摘出術時,前嚢を摘出し組織学的に検討すると,前嚢下の色素沈着部に一致して鉄染色陽性所見を認めた.眼底には黄斑反射の消失があり,術後視力は0.5であった.
 診断能力の向上,手術の進歩により眼球鉄症は減少している.しかし,高性能な機械を使用しても発見できない微小の鉄においても眼球鉄症は発症し,一旦発症した場合,有効な治療方法はない.眼内異物が疑わしい時は徹底した観察が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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