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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻6号

1988年06月発行

文献概要

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (5) 学会原著

乳児視覚障害のVEPによる視覚系発達過程の検討—重度精神運動発達遅延を伴う症例

著者: 真島行彦1 小口芳久1 植村恭夫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部眼科

ページ範囲:P.671 - P.674

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 重度の精神運動発達遅延を伴い,視反応が認められない乳児(明らかな眼病変を伴う症例は除外)の視反応出現の判定は少なくとも2歳までの経過観察が必要であり,後頭部視中枢での障害の程度および発達のモニターにVEPは有用と考えられた.2歳を過ぎてもVEPが認められない場合は視反応出現は期待できないのではないかと考えられた.2歳以前にVEPが記録された症例では,VEP上の発達過程において網膜皮質路は最終的にはほぼ正常の発達を示した.さらに,高振幅でかつ多相性の波形が認められれば少なくとも後頭部視中枢での処理反応の発達が期待でき,全身的な精神運動発達遅延が改善されれば視機能の発達が期待できる.しかし,VEPが低振幅のままでかつ持続時間の長いN70およびP100成分のみの場合は,後頭部視中枢でいわゆる反応が停滞していることが考えられ,たとえ精神運動発達遅延が改善しても必ずしも視反応の出現は期待できないか,または出現しても良好な視反応の発達は期待できないと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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