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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻7号

1988年07月発行

文献概要

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (6) 学会原著

一過性黒内障発作を伴った大動脈炎症候群の1例 頸動脈再建術と視機能の経過

著者: 鈴木美佐子1 佐々木聡1 八子恵子1

所属機関: 1福島医大眼科

ページ範囲:P.767 - P.770

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 一過性黒内障発作を契機に大動脈炎症候群が発見された12歳女児例を経験した.本症例は初診時眼底に網膜静脈の拡張蛇行,小血管瘤,綿花様白斑,sludge現象が認められ,全身所見とあわせて大動脈炎症候群と診断された.ステロイド剤を中心とした抗炎症剤で治療が開始され一時炎症反応の改善が見られたが,その後眼底所見の増悪とともに視機能障害が進行し,脳虚血発作も頻発するようになった.大動脈血管撮影にて両側総頸動脈と左椎骨動脈の閉塞が認められたため,上行大動脈と右総頸動脈及び上行大動脈と左鎖骨下動脈の人工血管吻合術,右椎骨動脈のパッチ拡大術が施行された.術後,視機能はほぼ正常に復し,眼底所見も著明に改善した.
 本症例の経過より,著明な眼循環障害を伴い内科的治療に抵抗する大動脈炎症候群には,視機能の保持のためにも積極的に血行再建術を施行すべきことを強調した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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