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特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (6) 学会原著
Mucopolysaccharidosisにおける屈折値,角膜曲率半径,眼軸長,角膜厚の異常について
著者: 前田直之1 松田司2 濱野孝2 下村嘉一2 眞鍋禮三2 木下茂3 笹木右子4
所属機関: 1大阪船員保険病院眼科 2大阪大学医学部眼科 3大阪労災病院眼科 4関西医科大学眼科
ページ範囲:P.771 - P.774
文献購入ページに移動その結果,正常人に比較して角膜曲率半径は,平均が8.35±0.25mm (SD)とかなり大きく,眼軸長は平均が19.67±1.20mmと著明に短かかった.また屈折状態は検査可能であった全例で遠視傾向にあつた.角膜厚は,角膜移植後の1眼を除き,0.6mm以上と厚かった.10年間の経過観察ができた1例では,成長に伴う遠視の著明な進行が認められた.これらのことより,Mucopolysac-charidosisでは,ムコ多糖類が眼内各組織に蓄積することにより,角膜混濁や網膜の変性が生じるだけではなく,各組織の正常な成長を阻害し,角膜曲率半径が大きく,かつ眼軸長が短くなり,その結果として遠視になるのではないかと推測される.
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