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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻7号

1988年07月発行

文献概要

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (6) 学会原著

前房混濁測定装置による白内障術後炎症の定量的検討

著者: 近藤正巳1 天野史郎1 増田寛次郎1

所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.781 - P.784

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 He-Neレーザー光を用いた新しい前房混濁測定装置が開発されたが,その臨床応用への報告は少ない.我々は水晶体嚢外摘出術(ECCE)の患者を対象に房水混濁度・前房内細胞数を本装置で測定し,その経時的変化を明らかとした.また後房人工水晶体(IOL)挿入の影響や,消炎剤であるアゼラスチン内服の薬効判定の検討も試みた.結果は,術直後が混濁度・細胞数ともに最も高く,以後経時的に低下するのが示された.ECCE+IOL群はECCE群よりも混濁度では術後3〜20日,細胞数では1〜3日目まで有意に計測値が高く,以後は差を認めなかった.アゼラスチン投与群は非投与群よりも房水混濁度が低く,ECCE+IOL群内では2〜4日,ECCE群内では1・2日目に有意差が認められ,本剤の有効性が示された.本装置で白内障手術後の炎症が客観的・定量的に測定でき,安全に繰り返し測定することで詳細な経時変化も得られ,術式改善の判定や或いは薬効判定の検討に利用できた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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