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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻7号

1988年07月発行

文献概要

特集 第41回日本臨床眼科学会講演集 (6) 学会原著

各種眼疾患における眼内液ヘルペス群ウイルス抗体価および抗体率の検索 眼内ウイルス感染の診断指標として

著者: 沖津由子1

所属機関: 1東京医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.801 - P.805

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 抗体率(以下Q値と略す)算出は眼内ウイルス感染が疑われる疾患の病因診断に有用である.診断に対するQ値の評価基準を定める目的で,ヘルペス性ぶどう膜炎(角膜ぶどう膜炎,眼部帯状疱疹に伴う虹彩炎など)13眼と,対照疾患(老人性白内障,硝子体出血,桐沢型ぶどう膜炎以外のぶどう膜炎など)196眼の眼内液(前房水,硝子体液,網膜下液)中のヘルペス群ウイルス抗体価とQ値を比較検討し,以下の結論を得た.
 1.Q値1未満の症例では,眼内ウイルス感染の可能性は極めて低いと思われた.
 2.Q値1以上6未満の症例のうち,眼内液抗体価低値(FAにて10倍)の場合は,眼内ウイルス感染の可能性は低いと思われた.
 3.Q値1以上6未満の症例のうち,眼内液抗体価高値(FAにて40倍以上)であっても血清抗体価が高値のためにQ値が比較的低値をとる症例や,発症ごく早期の症例では,眼内ウイルス感染を疑い,さらにウイルス学的検索が必要と思われた.
 4.Q値6以上の症例では,新鮮例,陳旧例をとわず,眼内ウイルス感染の可能性が極めて高いと思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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