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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科42巻9号

1988年09月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・267

視神経乳頭ピットと二重輪黄斑症

著者: 大島史子 ,   龍井哲夫 ,   金上貞夫 ,   清水昊幸

ページ範囲:P.1018 - P.1019

 緒言 Optic pit (以下pit)の存在は1882年Wiethe1)の記載以来知られ,pitに伴う後極部隆起性病変は1967年Sugar2)がこれを網膜剥離と規定して以来pitに伴う網膜剥離として内外に多数の報告をみる3-6).1988年Lincoff7)らは立体観察法を駆使し,従来網膜剥離とされていた領域は実は網膜分離症様であり,長期経過後に黄斑部に二次的に生ずる嚢腫様病変こそ網膜剥離であると主張した.
 今回,我々は網膜立体撮影を用いて,網膜分離症様病変と網膜剥離の二重構造を明らかにした.その結果,Lincoffの主張を支持する所見を得たので報告する.

眼の組織・病理アトラス・23

脈絡膜悪性黒色腫と交感性眼炎

著者: 猪俣孟

ページ範囲:P.1022 - P.1023

 交感性眼炎はぶどう膜のメラニン細胞に対する自己免疫疾患とされているが,交感性眼炎を起こす誘因はまだ明らかではない.その可能性として,眼外傷や内眼手術の際にぶどう膜のメラニン細胞が破壊されることによって,または外傷に際してウイルスなどの微生物が感染することによって,ぶどう膜に自己免疫反応としての炎症が起こるのではないかと推測されているが,いずれも確証はない.
 交感性眼炎とぶどう膜メラニン細胞との関係を示唆するものとして,脈絡膜悪性黒色腫と交感性眼炎の合併が注目される.脈絡膜悪性黒色腫に合併した交感性眼炎は腫瘍がある方の眼が起交感眼で,腫瘍のない他眼が被交感眼である.

今月の話題

硝子体フルオロフォトメトリーの臨床的意義

著者: 小椋祐一郎

ページ範囲:P.1031 - P.1035

 硝子体フルオロフォトメトリーは血液網膜関門の透過性を評価する検査法として普及しつつある.その測定値が意味するもの,臨床的意義およびその応用,現時点での問題点,将来の展望などについて解説した.

臨床報告

Ocular myositisの2例

著者: 太田良枝 ,   佐藤綾司 ,   橋場のり子 ,   大平明彦

ページ範囲:P.1037 - P.1040

 経過の異なる2症例の外眼筋炎を経験した.1例は,両眼に長期にわたり炎症発作を繰り返したためステロイドの内服を切り難い症例であった.肥厚した外眼筋の数や肥厚程度は再発と治療に応じて変化した.もう1例は,急性に発症し,片眼性の主として外直筋に炎症を生じ,外眼筋の拘縮を生じるという珍しい例であった.眼球運動速度検査とforced duction testから,外眼筋炎における眼球運動制限は,筋の収縮要素と伸展要素の両者,特に後者の障害により発生すると考えられた.

DNA修復障害を特徴とする色素性乾皮症と角膜内皮の老化

著者: 中村充利 ,   野村耕治 ,   川上淳子 ,   大久保潔 ,   市橋正光

ページ範囲:P.1041 - P.1044

 色素性乾皮症(Xeroderma Pig-mentosum, XP)は,DNA修復能の欠損を特徴とする遺伝性の光線過敏症の一つであるが,著明な眼合併症を認めない本症例8例に付きその角膜内皮細胞をスペキュラーマイクロスコープを用いて検討し,8例中7例に正常人と比較して有意な細胞密度の減少,全例のhexagonalityの低下を認めた.従ってXPにおいてはその初期に既にhex-agonalityの低下と角膜内皮細胞の減少が観察され,角膜内皮は本症における紫外線障害を評価しうる鋭敏な組織であると考えられた.また,XPでは紫外線障害が細胞増殖機能のほとんど認められないとされる角膜内皮細胞のDNAに蓄積し,いわゆる老化を促進し,それが細胞密度の低下として反映されていることが示唆された.角膜内皮細胞の老化をhexagonalityの低下と細胞密度の減少と考えた場合,DNA修復能と細胞の老化との間に密接な関係があると考えられる.

原発緑内障の失明統計

著者: 馬場裕行 ,   越智利行 ,   吉川啓司 ,   井上トヨ子 ,   井上洋一

ページ範囲:P.1045 - P.1049

 1967年より1986年までの過去約20年間に,当院緑内障カルテに登録された3,295例を対象として,緑内障の病型別失明統計を行った.失明は矯正視力0.01以下と定義した.このうち緑内障の疑い640例と高眼圧症172例を除くと2,483例であった.初診時失明は544例,622眼(25.1%),経過中の失明は,70例71眼(2.9%)であった.
 急性閉塞隅角緑内障による初診時失明率は50.4%と最も高率であり,眼科管理の遅れが注目された.失明率は発育緑内障,原発開放隅角緑内障,低眼圧緑内障,阻血性視神経症の順に10.0%,7.4%,5.5%,3.1%であった.眼圧コントロールの問題が最も大きいものと考えられた.
 経過中失明したものが71眼あり,そのうち5眼(7%)は眼圧コントロール良好でありながら失明に至っていた.このうち3眼には著明な耳側コーヌスがあり,素因的な視神経の脆弱性の問題が背景にあることが推察された.

開放隅角緑内障の黄斑部視野

著者: 山上淳吉 ,   新家真 ,   山本哲也

ページ範囲:P.1051 - P.1054

 原発開放隅角緑内障59例88眼,低眼圧緑内障17例22眼,計76例110眼を対象として緑内障の黄斑部視野変化について検討し,次の結果を得た.
 1.黄斑部の視野異常はそれ以外の部位の視野変化の程度と強い相関を示した.
 2.黄斑部以外の視野変化にともなって,比較的早期から黄斑部視野の感度の低下を示す症例の多いことが確認された.
 3.黄斑部の異常の程度を判別する判別式を算出したところ,黄斑部視野の異常の程度と年齢,屈折,眼圧には関連は認められずMean Devia-tion (MD),Pattern Standard Deviation (PSD),黄斑外視野との間に強い関連が認められた.
 したがって,静的視野測定の際には比較的初期の症例でもMD, PSD等を考慮に入れて黄斑部の閾値検査を行うことが望ましいと考えられた.

動脈硬化と眼球脈波について

著者: 藤川英津子 ,   堀内二彦

ページ範囲:P.1055 - P.1059

 我々は眼循環障害を疑わせる症例約300例にocculo cerebro vasculo meter (OCVM)による検査を施行し,OCVMで頭頸部血管異常を疑う症例31例に血管撮影を行った.これらのうち頭頸部血管の硬化所見の得られた3例についてのOCVMの結果を検討した.
 1例では,脈波は振幅が低く,また早期に消失した.他の2例では脈波振幅は低かったが,早期消失はみられなかった.
 動脈硬化は血管抵抗の上昇に伴い眼球脈波に影響を及ぼすと考えられるが,動脈硬化の部位,程度,代償機能によって脈波に対する影響は一定でないと推論した.

ベーチェット病が疑われるぶどう膜炎患者の病像と診断

著者: 荒木かおる ,   中川やよい ,   多田玲 ,   笹部哲生 ,   大路正人 ,   春田恭照 ,   湯浅武之助

ページ範囲:P.1065 - P.1068

 ベーチェット病(以下ベ病)と類似の眼症状を呈し,他の全身症状を欠くか,または眼症状以外にはベ病としての特異性が少ない1症状のみを伴う24例の診断について検討した.これらのうち,経過中にベ病と確定診断できたものを除く症例を,ベ病特有の眼所見により前房蓄膿型(3眼),網膜滲出型(21眼),無特徴型(17眼)に分類した.これらの3型は前房蓄膿や網膜滲出斑以外の症状についてはよく類似しており,他に各型の特徴的な所見はなかった.網膜滲出型ではベ病に定型的な滲出斑が反復して出現する例と,非定型的なものが少数たまに出現する例とがあった.1年間の観察で網膜滲出斑が出現しない例は無特徴型の可能性が高いことが判明した.HLAでは網膜滲出型でA26をもつものが多く,無特徴型ではDQw1をもつ例が多かった.ベ病の炎症が「再発性」と「白血球の過敏性」という特徴をもつことから,再発性の前房蓄膿がある例と網膜滲出斑を反復する例は,他の疾患が否定できればベ病であろうと推定される.滲出斑の出現回数が僅かで,滲出斑の形も非定型的な例はベ病とは断定できず,長期間滲出斑の見られぬ例はベ病でないと推定される.

高齢者網膜剥離の特徴(3)

著者: 谷原秀信 ,   沖波聡 ,   丹尾知子 ,   小川奈保子 ,   荻野誠周

ページ範囲:P.1071 - P.1074

 65歳以上の高齢者の裂孔原性網膜剥離273眼における手術成績と併発症について報告した.経過観察は最低6カ月で手術回数は総計330回であった.術前併発症は脈絡膜剥離,角膜混濁などがめだった.術式はジアテルミー凝固術にバックリング法を併用した方法が多かった.また初回手術で,輪状締結術が108眼に施行された.初回手術で273眼中258眼が復位したが,術後平均5.3カ月で33眼が再剥離した.術後視力は術前と比較して改善110眼,不変123眼,悪化40眼であった.

透析中の増殖性糖尿病性網膜症に対する硝子体手術

著者: 池田恒彦 ,   田野保雄 ,   細谷比佐志 ,   中江一人 ,   生島操 ,   日下俊次

ページ範囲:P.1075 - P.1077

 国立大阪病院眼科にて硝子体手術を施行した透析中の増殖性糖尿病性網膜症症例18例について検討した.透析患者では再出血や続発性緑内障等の術後合併症の頻度が高い傾向にあった.術後の伏臥位を避けるためにガスタンポナーデのかわりに意図的に液体シリコン注入を行ったが,結果的には無水晶体眼で液体シリコンによる瞳孔ブロックを生じた.透析患者でも術後の伏臥位は可能であるので,網膜の復位を得るためにはガスタンポナーデの方が液体シリコン注入より優れている.

保存的治療で寛解した外傷性眼窩内骨膜下血腫の1例

著者: 吉田晶子 ,   原敏 ,   玉井信

ページ範囲:P.1079 - P.1081

 鈍的頭部外傷後に眼窩内骨膜下血腫が出現し,比較的短期間に眼症状の改善が認められた症例を経験した.外傷性眼窩内骨膜下血腫は血腫が著明で進行性に眼球突出をきたし,血腫の除去,穿刺吸引が必要である例が多い.
 本例は眼球突出が軽度で,短期間に眼症状が改善したまれなものであった.鈍的頭部外傷の既往および眼球運動障害があることから本疾患は吹抜け骨折とよく似た臨床像を示す場合がある.治療法が全く異なるため早期に鑑別しなければならない.

シリコン・オイル注入眼の合併症とその対策

著者: 大塩善幸 ,   大島健司 ,   蔵田善規

ページ範囲:P.1083 - P.1087

 当科において,シリコン・オイル(以下S.O.と略記)を硝子体手術に併用するようになり約6年半が経過しているが,S.O.は,長期間眼内に入れたままにしておくと,白内障等の種々の合併症をきたしてくる.今回は,1981年3月より1986年2月までの5年間に,硝子体手術にS.O.を併用した581眼につき検討を加え,S.O.の抜去が遅れた為に何らかの合併症をきたし,その後にS.O.を抜去した78眼につき,その合併症の種類,発現時期,それに対する対応につき報告する.

カラー臨床報告

コーツ病様変化をきたし高度な滲出性網膜剥離を呈した網膜静脈分枝閉塞症の1例

著者: 今泉寛子 ,   斉藤哲哉 ,   竹田宗泰 ,   上野哲治

ページ範囲:P.1025 - P.1029

 69歳女性でコーツ病様の濃厚な滲出物を伴った嚢状の滲出性網膜剥離をきたした網膜静脈分枝閉塞症の1例を報告した.
 右眼上耳側,動静脈交叉部で静脈が閉塞し,毛細血管床閉塞,毛細血管瘤,新生血管を認め,閉塞領域と周囲の網膜血管から強い漏出が見られたが,網膜裂孔は認めなかった.
 網膜下液の排出により嚢状の網膜剥離は消失したが,大量の滲出物のため閉塞領域の血管異常に対する治療が困難だった.

最新海外文献情報

網膜,他

著者: 原田敬志

ページ範囲:P.1062 - P.1064

Lewis HL et al: Perisilicone proliferation after vitrectomy for proliferative vitreo- retinopathy. Ophthalmology 95 : 583-591, 1988
 PVRのある網膜剥離40例(13〜84歳)に内部タンポンあるいは手術器械としてヒーロンを用いた経験を述べた.内部タンポンとしては,下方に裂孔のある症例4例にヒーロン単独で,多発裂孔のある18例にガスと組み合わせて使用した(C3F812例, SF63例,空気3例).ヒーロンはさらに網膜のヒダを伸ばしたり,膜を離断したり,反転した裂孔の弁を動かしたり,内側の穿刺により下液を排出したりするのに有用であった.これは若年性網膜分離症の際に特に役立った.第1回の手術では26眼(A15眼,B4眼,C6眼,D1眼)に復位が得られた.復位しなかった14眼のうち空気+C3F8,により剥離が消失した症例も2,3みられた.ヒーロン単独による眼圧上昇はないが,C3F8と併用すると17眼に30 mmHg前後に眼圧が上った.ヒーロンは硝子体手術の後に内部タンポンとして有用であるが,下方の胞状網膜剥離に対しても,硝子体手術を行わず冷凍凝固を容易にする点で推奨しうる.

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原著論文の書き方について

ページ範囲:P.1070 - P.1070

論文を書く上で一番大切なことは,何故この論文を書くに至ったのかという理由がはっきり示されることと,この研究によって新しくわかった知識は何であるかということを,はっきりと示すことであろうと思います。
 以下,具体的に順を追って述べてみたいと思います。

文庫の窓から

眼科必携(須淮氏眼科必携)

著者: 中泉行信 ,   中泉行史 ,   斎藤仁男

ページ範囲:P.1088 - P.1089

 明治4年(1871)8月に,明治新政府の招きでドイツの陸軍軍医正,レオポルド・ミュルレル(Leopod Müller)と海軍軍医,セオドール・ホフマン(Theodor Hoffmann)が来日し,東校(東京大学医学部の前身)の教師に就任したが,当時東校卒業生の中には軍医に進む者,また,文部省派遣の医科欧州留学生の中にも陸海軍の軍医が幾人かいて,後に著述や翻訳等において活躍した.こうした頃に,日常学生を教授し,また医家の提携に便利なように著述出版された眼科書が本書である.
 本書はドイツ国伯霊府大学校眼科教頭,兼学長,須淮歇児(Karl Schweigger)原著を坂井直常(不詳〜1890)が訳補したものである.全編を3部に大別し第1部に光線,屈折,節視力の変常,眼鏡,検眼鏡,測眼器の躰用,眼筋の病を論じ,第2部に眼窩,涙器眼瞼,結膜,角膜,剛膜,虹彩,水晶躰及び硝子躰の病を説き,そして第3部において眼底の常態,脈絡膜病,視神経病及びグラウコーマ,アムブリオピーを記述したものであるが,訳出されたものは第2部および第3部であって,その理由を『予が第2部を取って上梓を急にするは其諸病の療法家の日常に急務たるを以てなり,第1部は即ち眼科の楷梯なる故』と坂井直常は述べている.ここに掲出の版は第2部および第3部全11巻11冊(18.5×12.5cm),四周双辺,無界,毎半葉10行,毎行20字詰,片版名交,図式29図,刊本,和綴,明治9年(1876)6月より同12年(1879)4月に至る問に版権免許を得て,東京馬喰町島村利助より発見されたものである。本酵の巻数と発1:—1の年次は以下の通りである。

第92回日本眼科学会総会印象記 1988年3月24〜26日於京都市

—一般講演—視細胞,光障害,網膜剥離,他

著者: 田村修

ページ範囲:P.1090 - P.1108

 このセッシヨンの第Ⅰ席では,東京医大の花房先生が,色覚検査の際の視標を従来のものより大きくした場合の検査結渠を報告した。指標を大きくすると,色盲では均等巾が短縮する例がみられた。これに,大庭先生(鹿児島大)が均等巾の変化することの意味について質問した。第2席は,京大の北岡先生が,網膜の色素上皮細胞が桿体外節を貧食する因子として,MPAが関係するであろうと報告した。これに,斎藤先生(札幌医大),玉井先生(東北大)がロドプシンとの関係などについて質問した。第3席では,慈恵医大の郡司先生が最終閾値到達時間が60分以下の場合には,暗順応曲線が視標の人きさによって変化することから空間的寄せ集め機構が存在するであろうと報告した。これに,大庭先生(鹿児島大),玉井先生(東北大),阿部先生(愛媛大)がこの現象は神経性のものか,錐体と桿体とのインターアクションの有無等について質問した。第4席および第5席の札幌医人の大黒先生および斉藤先生は,視興奮伝達の初期過程に唄要な役割を持っGTP結合蛋白質トランスデューシンを分類してその作用を究明した。第6席は,慈恵医人の北原先生が強い白色光を長期間照射された後,青錐体の感度が低下した例を報告した。これに、太田先生(東京医大),市川先生(名占屋市立人)らが自覚するものか,そのオリジン等を質問した。第7席は滋賀医大の佐々本先生が,網膜内に豊富に含まれているタウリンが光を遮断して飼育しラットでは減少していることを示し,タウリンが光刺激受容系に関与しているのではないかと報告した。これに,北岡先生(京大)が,暗黒で飼育した場合に全身的に正常な発育が保証されるかとの質問をした。第8席は,鹿児島大の内匠先生がレクチンを用いて,視細胞外節の複合糖質の分布を検討した。第9席は,京大の本田先生が,網膜剥離の視細胞とMUIIer細胞の機能を特異酵素の活性を測定することで検討した。6カ月以後でも視細胞の機能はある程度存在するという。これに,玉井先生ら(東北大)は硝子体手術の影響,坪井先生(阪大)は可逆性かどうかを質問した。第10席は,阪大の坪井先生がイヌの色素上皮 脈絡膜を用いて,色素上皮の水輸送を究明した。これに対して,上野先生(京大)は,この結果では吸引方向のみに水が輸送されているが,この意味についての質問があった。第11席の広島大の加登本先生および第12席の京大の喜多先生が渦静脈を結紮したときの,網膜下液の吸収時間を測定した。これに,座長の雨宮先生(京大)は組織学的にどうなっているかを質問した。第13席は,東大の小谷野先生が,色素上皮—脈絡膜のFluorescein等の移送を膜電位の測定で検討した。これに坪井先生(阪大),玉井先生(東北大)がFluores-ceinの濃度と移送の関係などについて質問をした。第14席は,大阪市大の森脇先生が,色素上皮の貧食能は網膜裂孔の部分で上昇していることを,ラテックスの取り込みを指標として観察した。第15席は,高岡市の飛見先生が,網膜下液の成分について報告した。
 このセッションでは,本年は組織学的,生理学的な発表よりも,生化学的,酵素化学的な発表が多かった。いずれにせよ,網膜剥離も従来のように治療方法一点張りでなく,基礎的な研究が主流を占めてきたことを感じた。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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