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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻9号

1988年09月発行

文献概要

臨床報告

DNA修復障害を特徴とする色素性乾皮症と角膜内皮の老化

著者: 中村充利1 野村耕治1 川上淳子1 大久保潔1 市橋正光2

所属機関: 1神戸大学医学部眼科教室 2神戸大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.1041 - P.1044

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 色素性乾皮症(Xeroderma Pig-mentosum, XP)は,DNA修復能の欠損を特徴とする遺伝性の光線過敏症の一つであるが,著明な眼合併症を認めない本症例8例に付きその角膜内皮細胞をスペキュラーマイクロスコープを用いて検討し,8例中7例に正常人と比較して有意な細胞密度の減少,全例のhexagonalityの低下を認めた.従ってXPにおいてはその初期に既にhex-agonalityの低下と角膜内皮細胞の減少が観察され,角膜内皮は本症における紫外線障害を評価しうる鋭敏な組織であると考えられた.また,XPでは紫外線障害が細胞増殖機能のほとんど認められないとされる角膜内皮細胞のDNAに蓄積し,いわゆる老化を促進し,それが細胞密度の低下として反映されていることが示唆された.角膜内皮細胞の老化をhexagonalityの低下と細胞密度の減少と考えた場合,DNA修復能と細胞の老化との間に密接な関係があると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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