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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻9号

1988年09月発行

文献概要

臨床報告

原発緑内障の失明統計

著者: 馬場裕行1 越智利行1 吉川啓司1 井上トヨ子1 井上洋一1

所属機関: 1オリンピア・クリニック

ページ範囲:P.1045 - P.1049

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 1967年より1986年までの過去約20年間に,当院緑内障カルテに登録された3,295例を対象として,緑内障の病型別失明統計を行った.失明は矯正視力0.01以下と定義した.このうち緑内障の疑い640例と高眼圧症172例を除くと2,483例であった.初診時失明は544例,622眼(25.1%),経過中の失明は,70例71眼(2.9%)であった.
 急性閉塞隅角緑内障による初診時失明率は50.4%と最も高率であり,眼科管理の遅れが注目された.失明率は発育緑内障,原発開放隅角緑内障,低眼圧緑内障,阻血性視神経症の順に10.0%,7.4%,5.5%,3.1%であった.眼圧コントロールの問題が最も大きいものと考えられた.
 経過中失明したものが71眼あり,そのうち5眼(7%)は眼圧コントロール良好でありながら失明に至っていた.このうち3眼には著明な耳側コーヌスがあり,素因的な視神経の脆弱性の問題が背景にあることが推察された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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