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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科42巻9号

1988年09月発行

文献概要

臨床報告

ベーチェット病が疑われるぶどう膜炎患者の病像と診断

著者: 荒木かおる1 中川やよい1 多田玲1 笹部哲生1 大路正人1 春田恭照1 湯浅武之助1

所属機関: 1大阪大学医学部眼科

ページ範囲:P.1065 - P.1068

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 ベーチェット病(以下ベ病)と類似の眼症状を呈し,他の全身症状を欠くか,または眼症状以外にはベ病としての特異性が少ない1症状のみを伴う24例の診断について検討した.これらのうち,経過中にベ病と確定診断できたものを除く症例を,ベ病特有の眼所見により前房蓄膿型(3眼),網膜滲出型(21眼),無特徴型(17眼)に分類した.これらの3型は前房蓄膿や網膜滲出斑以外の症状についてはよく類似しており,他に各型の特徴的な所見はなかった.網膜滲出型ではベ病に定型的な滲出斑が反復して出現する例と,非定型的なものが少数たまに出現する例とがあった.1年間の観察で網膜滲出斑が出現しない例は無特徴型の可能性が高いことが判明した.HLAでは網膜滲出型でA26をもつものが多く,無特徴型ではDQw1をもつ例が多かった.ベ病の炎症が「再発性」と「白血球の過敏性」という特徴をもつことから,再発性の前房蓄膿がある例と網膜滲出斑を反復する例は,他の疾患が否定できればベ病であろうと推定される.滲出斑の出現回数が僅かで,滲出斑の形も非定型的な例はベ病とは断定できず,長期間滲出斑の見られぬ例はベ病でないと推定される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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