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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻1号

1989年01月発行

文献概要

臨床報告

原田病遷延例に対するシクロスポリンの効果

著者: 井上尊雄1 多田玲1 中川やよい1 大路正人1 春田恭照1 湯浅武之助1

所属機関: 1大阪大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.47 - P.51

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 原田病遷延例で,ステロイド剤の副作用として,それぞれ糖尿病,高度の肥満,骨粗鬆症を生じた3例に対し,シクロスポリン4〜8mg/kgを8〜10ヵ月間投与した。炎症の増強時には補助的な治療としてステロイド剤の局所注射が必要であった。シクロスポリン投与中は遷延性炎症が比較的軽度にまで抑制されている時期のほうが長く,本剤は原田病遷延例にある程度の効果を示したと考えられる。自覚的な副作用は全例に認められこれらは胃腸障害,倦怠感,多毛症,歯肉増生であった。2例では血中の尿素窒素,クレアチニンが上昇傾向を示したが,肝機能障害や神経症状が発現した例はなかった。本剤は原田病遷延例に対して,ある程度の期間ならステロイド剤に代わる治療剤として使用できる。しかし長期間の投与で,緩解状態への誘導が可能かどうかは明らかでなく,副作用の問題もあり,シクロスポリンが原田病遷延例の治療剤として普遍的に使用できるかどうかはさらに検討が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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