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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻1号

1989年01月発行

文献概要

臨床報告

コンタクトレンズ装用による角膜内皮細胞変化—第2報:角膜内皮細胞変化に影響を及ぼす諸因子の検討

著者: 福田薫1 浅井利通1 上総良三1 山本節1

所属機関: 1神戸大学医学部眼科

ページ範囲:P.59 - P.63

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 コンタクトレンズ(CL)装用眼35例70眼に対し,スペキュラーマイクロスコープを用いて角膜内皮細胞変化を観察し,装用年数,装用延べ時間,装用状態,材質等,種々の因子の内皮細胞に及ぼす影響を検討した。
 装用年数の長期化,装用延べ時間の増大に伴い,角膜内皮細胞密度の低下,変動係数(CV)の増大を認めた。CVの増大は,細胞密度の低下に先行して認められ,両者はほぼ相関して変化するものの,CV値60程度で頭打ちになるものと考えられた。細胞密度には測定誤差程度の変化しか来さない角膜内皮細胞の脱落においても,CVは有為な増加を来すことより,角膜内皮細胞の脱落はコンタクトレンズ装用早期より生じていると推察された。また装用状態はいずれの症例も良好で,soft CL, hard CLの間にも有意差は認められなかった。
 CL装用に伴う角膜内皮細胞の形態変化には,比較的均一に個々の細胞面積が増大する例と,大小細胞群に区分される例の2つの形態を認めたが,大小細胞群に区分される例は,細胞密度の低下が大きく,装用時間の長い例に多く認められた。CL長期装用者の角膜内皮細胞変化に個人差が大きい原因として,CLに対する角膜内皮細胞の反応性の違いが推察された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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