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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻10号

1989年09月発行

文献概要

特集 眼科外来診療マニュアル—私はこうしている 外来診療のポイント—私はこうしている 所見からみた疾患

結膜異常

著者: 川野晃嗣1

所属機関: 1川野眼科

ページ範囲:P.1524 - P.1527

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 結膜異常の症状には,充血,眼脂,異物感,流涙,羞明、掻痒感などがあり,これらに視力低下,眼精疲労,疼痛などをしばしば伴う。一般に結膜単独の疾患の場合は,それほど強い症状はきたさないが,二次的に角膜が傷害されると疼痛を伴うことが多い。
 結膜の充血は,前眼部の炎症の存在を示している。流涙や羞明,異物感は,前眼部の神経刺激症状である。眼脂は,水性の眼脂はウイルス性結膜炎を示唆し,線維素膿性の眼脂はクラミジア性結膜炎を,粘液性,粘液膿性の眼脂は細菌性結膜炎,とくに著しい膿性の眼脂は淋菌感染を示唆し,白い粘稠な眼脂はアレルギー性疾患を示唆する。結膜濾胞形成や乳頭形成は,炎症が比較的強いときや,疾患が慢性化しているときに出てきやすい。眼瞼結膜の石垣状の濾胞形成は,春季カタルに特徴的である。偽膜は,リンパ球,白血球,上皮細胞,細菌,線維素などの集合したものであり,新生児や老人の結膜炎でしばしば出現する。これは,流行性角結膜炎や封入体結膜炎のほか,種々の細菌性結膜炎が原因でおこる。掻痒感はアレルギー性疾患を示唆する。そのほか,耳前リンパ節腫脹は,ウイルス性のほかヘルペス,クラミジア,急性細菌感染などのときに出現する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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