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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻10号

1989年09月発行

文献概要

特集 眼科外来診療マニュアル—私はこうしている 集学的治療に必要な他科の知識

糖尿病—いま,内科では

著者: 松岡健平1

所属機関: 1東京都済生会中央病院内科

ページ範囲:P.1639 - P.1641

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 糖尿病とは高血糖の持続する状態のことであり,一連のインスリン作用システムが遺伝的体質に加え,さまざまな環境因子により妨害されるために発症する。このようにして生じたインスリンの絶対的,相対的作用不足は糖質のみならず,脂質・蛋白質の代謝にまで悪影響をおよぼし,放置するとケトアシドーシスのような激しい代謝失調をもたらすことがある。また,長期の代謝異常は,糖尿病に特有な糖尿病性網膜症,同腎症,神経障害を起こし,動脈硬化性病変の促進因子となる。
 糖尿病の症状はその経過中の病態より見て,2つに大別することができる。第1は,高血糖より直接もたらされる多尿・口渇・多飲・多食・体重減少であり,もうひとつは,合併症によりもたらされる諸症状である。糖尿病は単一の疾患ではなく,病型,罹病年数,代謝状態とその持続,合併症の種類と程度,治療法,さらに患者の自己管理の態度といった数多くの因子を反映しながら多彩な症状が展開する。これは一見他疾患も同様と考えられるが,糖尿病が長期にわたること,その多様性から背景因子がはるかに複雑な症候群であることなどによる。糖尿病患者の数は今日250万人以上といわれており,網膜症,白内障などを介して,眼科医と密接な関係のある疾患である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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