文献詳細
臨床報告
文献概要
網膜剥離をきたした朝顔症候群の2症例を報告した。症例1の32歳男性は,下方約2象限におよぶ浅い網膜剥離を認めた。硝子体切除,眼内液空気置換術,術後光凝固の追加等で治療を試みたが復位せず,最終的にシリコンオイル注入術,眼内光凝固術を行い,網膜の完全復位を得ることができた。症例2の13歳の男子は鼻側乳頭漏斗状陥凹部のすぐ内側に非常に小さな裂孔を認め,乳頭の耳側に固定皺襞を伴った網膜剥離を認めた。硝子体切除術,眼内液空気置換術を行い,術後光凝固術を施行したが,復位が得られず,空気灌流下硝子体手術を行い,裂孔部を生体接着剤(ブチルシアノアクリレート)により閉鎖することにより,網膜の完全復位を得ることができた。2症例の経過により,朝顔症候群の網膜剥離における網膜下液の由来は,裂孔を介して網膜下腔に進入した液化硝子体であると考えた。治療は硝子体手術の応用による裂孔閉鎖が有用であると考えられる。
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