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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻12号

1989年11月発行

文献概要

臨床報告

Candida albicansによる内因性真菌性眼内炎の治療—アンホテリシンB結膜下注射の有効性

著者: 木村真也1 藤井雅朗1 向野和雄1

所属機関: 1北里大学医学部眼科

ページ範囲:P.1825 - P.1831

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 Candida albicansによる真菌性眼内炎3症例を経験し,各々に異なる治療法を行い比較検討した。症例1は49歳男性で,交通外傷後全身感染症をおこし,抗生剤の長期大量投与をうけていた。経過中カンジダ血症がみられ,Amphoter-icin B (以下AMT-Bと略す)の点滴静注を行ったが受傷2ヵ月後両眼の視力低下をきたし,眼内炎を起こしていた。その後視力の改善なく,両眼とも瘢痕化した。症例2は53歳男性で,敗血症を起こし抗生剤の大量投与が行われていた。約1ヵ月後両眼の視力低下を来し,眼内炎を起こしており5-fluorocytosineの経口投与と,vitrectomy後にAMT-Bの硝子体注入を行い軽度の視力改善をみ,瘢痕治癒した。症例3は47歳女性で胞状奇胎術後,またネフローゼ症候群のためステロイド剤の長期大量投与が行われていた。約1ヵ月後に両眼視力低下をきたし,虹彩炎と網膜の滲出性病変を認めた。治療はAMT-Bの全身投与は続行できず,0.05mg/ml AMT-Bの結膜下注射を隔日投与し,著名な視力の改善を認めた。我々は症例3がAMT-Bの結膜下注射にて明らかな視力の改善を認めたことから,今後Candida性眼内炎の積極的治療のひとつとして試みるべきであると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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