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臨床報告
松果体腫瘍を伴い三側性と思われた網膜芽細胞腫の1例
著者: 大西克尚1 熊野祐司1 木村一賢1 倉員健一2
所属機関: 1九州大学医学部眼科 2田川市倉員眼科
ページ範囲:P.1925 - P.1928
文献購入ページに移動症例は1歳9ヵ月の男児で,両親が患児の左眼が光るのに気づき,その2ヵ月後に近医で両眼の網膜芽細胞腫と診断され,九州大学眼科を紹介されて受診し,即日入院した。左眼は直ちに摘出され,病理組織検査で分化型網膜芽細胞腫であった。右眼に対してはヘマトポルフィリン誘導体を用いた光化学療法が3回行われ治癒した。その後,経過良好であったが,初診から6ヵ月後頃より嘔吐が毎日出現し髄液検査で細胞増多が認められた。CT検査で初診時には認められなかった松果体腫瘍が証明され,その部に対し40Gyの放射線と化学療法が施され一時寛解したが,初診から15ヵ月後に永眠した。
本例の松果体腫瘍は組織学的検査は行われなかったが,臨床的に三側性網膜芽細胞腫と診断され,CT検査の重要性が再認識された。
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