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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻13号

1989年12月発行

文献概要

臨床報告

Thyroid Ophthalmopathyの瞼裂開大に対するβ-遮断剤点眼の効果

著者: 太根節直1 岡野仁1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1957 - P.1960

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 バセドー病(Basedow's disease)などの甲状腺機能亢進症における眼症状のひとつに上眼瞼後退による瞼裂の開大がある。この眼瞼後退はDalrymple's signならびに,Graefe's signの原因と考えられている。グアネチジン(guanethi-dine)のような交感神経遮断剤の点眼投与によって病勢の軽快することが知られているが,現在我国ではこの薬剤は入手困難である。そこで我々は今回本症を呈した患者12症例に,β遮断剤(チモロール,ベフノロール,カルテオロール)の点眼を行ったところ,この上眼瞼後退が3例において軽減した。
 その奏効機序として,本症患者における眼瞼後退は,上下の瞼板筋(ミューラー筋(Müller'smuscle))の過剰な緊張によるものと考えられ(Rundleら),β遮断剤はその交感神経遮断作用により,交感神経性に支配される瞼板筋の痙攣が軽減するため,瞼裂開大が軽快したものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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