文献詳細
特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(1)1988年9月 東京
学術展示
斑状角膜変性症の角膜移植例について
著者: 佐渡一成1 田中稔1 稲垣有司1 黒川真理1 太田俊彦1 中川正昭1 沖坂重邦2
所属機関: 1順天堂大学浦安病院眼科 2防衛医科大学眼科
ページ範囲:P.208 - P.209
文献概要
症例 症例は38歳の女性で,主訴は両眼の視力低下,既往歴は9歳のときトラコーマ,他に特記すべきことはない。現病歴は1971年頃検診時に角膜疾患を指摘されるも放置。1979年(30歳)頃まで,裸眼視力は右1.0,左1.2であった。1984年6月19日,当科受診。初診時視力は,右0.1(0.4×PH),左0.4(0.7×+1.0×PH)。前眼部は両眼角膜で上皮では混濁部位に一致した隆起,上皮下にやや濃い混濁,実質全体にびまん性の混濁とややそれより濃い小斑点状の混濁が存在し,角膜後面にも全体に薄い混濁とともに沈着物でもあるかのような小斑点状の混濁を認めた。その他,中間透光体,眼底に著変を認めず。眼圧は右14mmHg,左13mmHgであった。全身検査所見でも特記すべきことはなかった。斑状角膜変性症と診断し,以後経過観察していた。1986年11月18日,右全層角膜移植術を施行した。提供者の年齢は2歳であった。術後1年半が経過しているが,視力は右0.4(1.0×−4.0D),角膜内皮細胞密度は2250/mm2で透明性を保っている。
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