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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻2号

1989年02月発行

文献概要

特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(1)1988年9月 東京 学術展示

"結膜ヘルペス"の4例

著者: 北川和子1 望月雄二1 清佳浩2 井本敏弘2

所属機関: 1金沢医科大学眼科 2金沢医科大学皮膚科

ページ範囲:P.230 - P.231

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 緒言 単純ヘルペスウイルス(HSV)や帯状ヘルペスウイルス(HZV)による結膜炎を経験することは比較的多いが,球結膜の潰瘍性病変の出現の報告は稀である。アシクロビルが投与されている場合には,この薬剤による副作用としての結膜潰瘍の可能性もあり,その判断は難しい1)。今回,結膜潰瘍を生じた未治療の新鮮例4例において,潰瘍部結膜にウイルス抗原の存在を確認することが出来たので報告する。
 症例1:25歳,女性。3日前より左眼の疼痛,充血が出現し来院。7年前よりソフトコンタクトレンズを装用していた。角膜ヘルペスの既往はない。左眼視力は0.06(1.2)で,左眼結膜に充血と濾胞が存在し,左耳前リンパ節を触知した。角膜に異常はなかったが,前房内に細胞がみられた。下方の球結膜にアメーバ状の多発性潰瘍が存在していた(図1)が,アシクロビル軟膏の投与により10日目には潰瘍は完全に消失した。その後鼻側に新しい病巣がひとつ出現したが(図2),4日で消失し治癒した。抗ヒトHSV 1型ポリクローナル抗体(DAKO)を用いて結膜潰瘍部の擦過物を染色したところ特異螢光が確認された(図3)。なお初診時の抗HSVIgG抗体は160倍と上昇していたが,IgM抗体は10倍以下と陰性であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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