文献詳細
特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(2)1988年9月 東京
学会原著
文献概要
10年間に診た14例のSLE患者のうち,42歳の女性で左眼に重篤な網膜症が発症した。初診時視力は,右1.2左0.01,眼底には右眼に軽度の白斑があり,左眼に多数の綿花様白斑が散在し,cherry red spotが認められた。ステロイド投与で炎症は消退したが,数ヵ月で左眼乳頭部新生血管が出現し,その後増殖性変化は徐々に進行した.左眼汎網膜光凝固術を施行した.以後増殖性変化はほぼ停止し,一部牽引性網膜剥離を残すのみとなっている。
SLEの網膜症の活動期には,早期にステロイドなどで十分な消炎を行い,血管炎による血管床の閉塞を最小限に押さえることが重要である。しかし,消炎後に広範な無血管野が残存し,それによる増殖性変化が生じた場合,網膜光凝固術は有用な治療であると考えられた。
SLEの網膜症の活動期には,早期にステロイドなどで十分な消炎を行い,血管炎による血管床の閉塞を最小限に押さえることが重要である。しかし,消炎後に広範な無血管野が残存し,それによる増殖性変化が生じた場合,網膜光凝固術は有用な治療であると考えられた。
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