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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻3号

1989年03月発行

文献概要

特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(2)1988年9月 東京 学会原著

硝子体手術を施行した黄斑裂孔網膜剥離

著者: 佐川宏明1 根路銘恵二1 鈴木水音1 橋本哲也1 西山功一1 竹内忍1

所属機関: 1東邦大学大橋病院眼科

ページ範囲:P.315 - P.318

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 黄斑裂孔網膜剥離のうち増殖性硝子体網膜症を伴った例,裂孔縁に明らかな硝子体牽引の認められた例に対して硝子体手術を施行した。対象は増殖性硝子体網膜症10例10眼,硝子体牽引の明らかなもの1例1眼であった。全例に硝子体手術,輪状締結術,空気またはSF6によるタンポナーデを行い,6例に意図的網膜裂孔形成を行いその部より網膜下液の吸引を行った。黄斑バックル,黄斑部光凝固はそれぞれ1例ずつ施行した。術後全眼復位したが2眼が3〜8ヵ月後に再剥離し,1眼はSF6注入のみで,1眼は黄斑バックルの修正で最終的には全眼復位した。視力の改善は全眼に見られた。
 増殖性硝子体網膜症を伴う例や,明らかな硝子体牽引のある黄斑裂孔網膜剥離では硝子体手術が有効であり,黄斑部にかかる牽引を解除できれば黄斑部に手術操作を加えなくとも復位可能と思われた。したがって視力保持のためには黄斑裂孔よりの網膜下液吸引や黄斑裂孔光凝固はできるだけ避けるべきと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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