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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻3号

1989年03月発行

特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(2)1988年9月 東京

学会原著

Human T-lymphotropic virus type I associated myelopathy (HAM)に合併した網膜血管炎

著者: 佐々木究1 諸岡居織1 猪俣孟2 加塩信行3 赤嶺俊彦3 納光弘4

所属機関: 1県立宮崎病院眼科 2九州大学医学部眼科 3県立宮崎病院神経内科 4鹿児島大学医学部第三内科

ページ範囲:P.376 - P.380

文献概要

 ヒトレトロウイルスであるHTLV-Ⅰに関連した脊髄症はHTLV-Ⅰ associated myelopathy (HAM)と称され,現在556例の報告があるが,網膜血管炎を合併した症例の報告はない。今回,12症例のHAMの患者の眼科的検査を行い,5例に硝子体混濁を,そのうち3例に網膜血管炎を認めた。49,50,58歳の女性3症例とも,歩行障害,排尿障害,霧視を主訴とし,血液,髄液の抗HTLV—Ⅰ抗体は高値であった。病歴12年の症例では網膜周辺部の静脈は白鞘化し,眼底後極に血管炎を認めた。他の2例では網膜周辺部に静脈炎を認めた。2症例はステロイド剤の投与にかかわらず血管炎は持続した。他の1例ではインターフェロンの投与をおこない,血管炎は消失した。他の疾患からくる網膜血管炎の除外診断をおこなった。HTLV-Ⅰ罹患地域では,HAMに網膜血管炎が合併することを留意する必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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