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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻3号

1989年03月発行

文献概要

特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(2)1988年9月 東京 学術展示

血管新生緑内障急性発作の治療—汎網膜光凝固効果発現までの房水及び前房出血の反復排出法

著者: 梶原一人12 坪田一男13 原裕4

所属機関: 1慶応義塾大学医学部眼科 2大田原赤十字病院眼科 3国立栃木病院眼科 4原眼科医院

ページ範囲:P.412 - P.413

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 緒言 血管新生緑内障(NVG)に対する治療の第一選択は汎網膜光凝固(PRP)であるが,効果発現までに時間を要し,持続する高眼圧があらゆる薬物治療に全く反応せず,失明の危機にさらされることは臨床上しばしば経験する。今回著者らは強力なPRP,頻回の前房穿刺と体位変換による前房出血の排出により急性期を脱し,視力を保持できたNVGの1例を経験したので報告する。
 方法 症例は48歳男性で,初診時既に増殖性糖尿病性網膜症と NVGを発症していた。 PRP施行後Vd=0.08(0.1),Vs=0.1(0.4),両眼圧15 mmHgにコントロールされていたが新生血管が消退せずPRP追加予定であったところ,3日間続く左眼違和感と視力低下により来院した。左眼は視力30cm手動弁,眼圧は53mmHgで,前房出血を伴っていた。保存的治療に全く反応しないため,球後麻酔の後,起座位を保持して出血を下方に沈め,1,347発のPRPを施行した(図1A・B)。なおも治療に抵抗するため,左側臥位を保ち前房出血を耳側に集めて,3時の位置にて前房穿刺を行い,1日4〜6回房水・血液の排出を行った。細いスパーテルにて輪部を転く圧迫することにより容易に排液を繰り返すことができた(図2A)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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