臨床報告
眼内レンズ移植術後の角膜乱視の検討—強角膜切開創の大きさと術後乱視
著者:
宮田和典1
田中俊一1
小松真理1
清水公也1
所属機関:
1武蔵野赤十字病院眼科
ページ範囲:P.459 - P.463
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大きさの異なる3種類の強角膜切開創による眼内レンズ移植術後角膜乱視の経時的変化を検討した。強角膜切開創は,5,7,11mmの3群とし,切開は外科的輪部より4面切開で行い,5mm群は,シリコンレンズを,7,11mm群は,PMMAレンズを移植した。角膜乱視は,術後7日目,1,3,6,12ヵ月にオートケラトメーターを用いて測定し,倍角座標法による角膜乱視量,および垂直,水平方向の角膜屈折力の経時的変化を解析した。術後の角膜乱視量の推移は,5,7mm群が術後3ヵ月でほぼ安定し,術前値に戻っているのに対して,11mm君羊は,術後1年でも術後性角膜乱視の残余量が大きかった。また術後7日目の乱視量の標準偏差は3群ともにほぼ同程度であったが,術後1年における標準偏差は切開が小さいほど少なかった。角膜屈折力は,3群ともに術後早期には垂直方向のsteep化と水平方向のflat化が生じていたが,切開が大きいほど水平方向の屈折力に与える影響は大きかった。術前に角膜乱視の少ない症例においては,小切開であるほど術後角膜乱視は少なくなると考えられる。