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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻4号

1989年04月発行

文献概要

臨床報告

難治性眼精疲労患者に対する調節麻痺剤点眼治療について

著者: 近江源次郎1 木下茂1

所属機関: 1大阪大学医学部眼科

ページ範囲:P.659 - P.663

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 調節の準静的特性検査を行った難治性の眼精疲労を訴える患者のうち,調節安静位1-7)の屈折値の変動幅が大きい症例5例10眼(うちVDT従事者3名6眼,頭頸部損傷1名2眼,出産後1名2眼)に対して1%塩酸サイクロペントレート(サイプレジン®)点眼8,9)を20倍に希釈したものを毎日就眠前に1回点眼するという治療を試みた。臨床評価は点眼開始2ヵ月後に調節の準静的特性検査を行い,調節安静位の屈折値の変動幅,調節安静位の平均屈折値,他覚的調節幅の3つのパラメーターについて比較検討を行った。その結果,開始約2ヵ月後には,調節安静位の屈折値変動幅の減少(P<0.01),調節安静位の近視化の改善(P<0.01)を有意に認めた。これら他覚的所見の改善に比例した自覚的症状の改善を全ての例で認めた。点眼開始前と開始2ヵ月後の瞳孔面積の比較では大きさ及びその運動において差を認めなかった。このことより20倍希釈の0.05%塩酸サイクロペントレート点眼(サイプレジン®点眼)の毎日就眠前の点眼治療は調節安静位の変動幅の大きい難治性の眼精疲労に対して有用であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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