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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻5号

1989年05月発行

文献概要

特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(4)1988年9月 東京 学会原著

増殖型糖尿病性網膜症の網膜硝子体界面病変とbursa premacularis

著者: 岸章治1 横塚健一1 戸部圭子1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科

ページ範囲:P.699 - P.703

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 我々は,先にその存在を証明したbursa premacularisが,増殖型糖尿病性網膜症(PDR)の病型形成にどのように関与しているか検索した。対象は,網膜前出血から牽引性網膜剥離を含むPDR 384眼である。PDRは,硝子体の緩慢な収縮に伴って進行する。有形硝子体が収縮すると,硝子体は眼底から剥離する。しかし,後極部では眼底の前方にポケット状の液化腔(bursa)が存在するため,硝子体ゲルの牽引が後部硝子体膜に伝わらず,後部硝子体膜の剥離が起きない。こうして,すりばち状の不完全硝子体剥離が形成される。新生血管増殖膜は,硝子体膜の立上がりに沿って成長し,輪状の網膜硝子体癒着が形成される。従って,PDRの増殖病変はbursaの形態を模倣すると言える。硝子体の収縮が更に進行すると,後部硝子体膜を介した牽引が黄斑部に及び,牽引雛や浮腫を生ずる。網膜前出血の解釈には,bursa内出血という可能性の追加が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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