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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻5号

1989年05月発行

特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(4)1988年9月 東京

学会原著

色素レーザーによる急性期網膜静脈分枝閉塞症の治療

著者: 坂本道子1 田中隆行1 得居賢二1 戸部圭子1 森圭介1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科

ページ範囲:P.741 - P.747

文献概要

 急性期網膜静脈分枝閉塞症21例21眼とhemi-CRVO 2例2眼に対し,波長610nmの色素レーザーを用いて光凝固を行ない,その治療効果と副作用を検討した。経過観察期間は3ヵ月から9ヵ月,平均5.1ヵ月である。症例は全例,黄斑部に出血と浮腫があり,全例放置すればさらに視力低下が起こると予想された。
 出血吸収は22眼で見られ,嚢胞様黄斑浮腫(CME)は15眼中13眼で,CMEを伴わない黄斑浮腫は8眼中7眼で改善した。治療後の視力は,2段階以上の視力改善で10眼,不変が9眼,2段階以上低下が3眼であった。晩期合併症として,光凝固9ヵ月後に1眼に網膜新生血管が生じた。クリプトンレーザー光凝固で見られるような脈絡膜出血,過剰凝固等の合併症はなかった。網膜神経線維層萎縮は6眼で観察され,うち5眼では,光凝固部位に一致していた。
 610nmの波長は,急性期網膜静脈分枝閉塞症の出血,浮腫の吸収に従来のアルゴン,クリプトンレーザーと同様に有効であった。また,出血部でも網膜外層の凝固が可能であり,術中の凝固斑が見やすく,術後の凝固瘢痕をコントロールしやすいことが利点と判断された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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