特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(4)1988年9月 東京
学会原著
未熟児網膜症の発症因子の統計学的解析
著者:
稲用和也1
竹中康雄2
所属機関:
1旭中央病院眼科
2東京都老人医療センター眼科
ページ範囲:P.763 - P.767
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旭中央病院新生児医療センターで管理された出生体重2,500g未満の低出生体重児239例を対象とし,多重ロジスティック回帰分析を用いて未熟児網膜症(ROP)発症に影響すると考えられている16因子を検討し,発症の予測を行った。発症に関与する因子は出生体重,酸素投与期間,在胎期間,人工換気日数,酸素投与最高濃度,人工換気の有無,気管支肺異形成,Apgar score 1分値,動脈血酸素分圧(PaO2)が60 mmHg未満の時間,PaO2の平均,呼吸窮迫症候群,PaO2が60mmHg未満かつ80 mmHg以上の時間の12因子であった(P<0.05)。多重ロジスティックモデルの変数選択によって出生体重(W)とApgar score 1分値(A)が選択され,次式が発症確率の予測式として求まった。
P=1/1+exp (-λ)
λ=9.462-0.005553×W-O.3604×A
このモデルにより,出生直後から効率よく発症を予測することができ,ROPの予防,予後の管理に役立つと考えられた。