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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科43巻5号

1989年05月発行

文献概要

臨床報告

Nd:YAGレーザーによる黄斑部誤照射の1例

著者: 加畑隆通1 本村幸子2 滝田弘子

所属機関: 1筑波大学附属病院眼科 2筑波大学臨床医学系眼科

ページ範囲:P.853 - P.856

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 本邦におけるレーザーによる眼誤照射は,10症例が確認されているが,そのうちYAGレーザーによるものが8例と大部分を占めている。今回我々は,Nd:YAGレーザーによる黄斑部誤照射のため,高度の視力障害を起こした症例を受傷早期より観察することができたので報告した。
 症例は43歳男性で研究員,QスイッチYAGレーザーによる変向実験中,誤ってレーザー光を直視した。保護眼鏡は装用していなかった。直後より霧視,視力低下を自覚。受傷5時間後に近医を受診,ついで筑波大学眼科を受診した。初診時左視力(0.15),中心窩を含む黄斑部に極めて深い円孔を形成しており,円孔縁からの網膜硝子体出血を認めた。出血は受傷10日でほぼ消失し,円孔底は次第に滲出物で埋められ浅くなった。最終視力は0.04(0.1),左視野に約2°の傍中心暗点を残した。レーザー光の眼誤照射は視機能の障害をもたらすため,その予防にはレーザーの取り扱いに細心の注意を払うとともに,安全対策の必要性を強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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