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臨床報告
海綿静脈洞後部病変による外転神経麻痺の2症例
著者: 岸本典子1 大月洋1 長谷部聡1 田所康徳1 高畠まゆみ1
所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1001 - P.1004
文献購入ページに移動症例1は61歳男性。両側の外転神経麻痺のみを呈し,頸動脈造影で両側海綿静脈洞内に後外側へ膨隆する内頸動脈瘤を認めた。外転神経は,海綿静脈洞後部では,内頸動脈と交叉し,その部位で両者は最も近接するために,他の脳神経症状を伴うことなく,外転神経単独麻痺が生じたものと推察した。
症例2は73歳男性。左側の三叉神経第3枝の障害,Horner症候群を伴う外転神経麻痺を呈し,放射線学的にも左蝶形骨洞,海綿静脈洞後部に炎症性病変を強く疑わせる所見を認めた。炎症性病変が,蝶形骨洞から,海綿静脈洞後部へと前方へ波及したために,交感神経,その他の脳神経症状を伴った,外転神経麻痺を生じたものと推察した。
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